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[24衆院選 現場から]維新と公明「背水の陣」、互いの原点の地で初対決…大阪3区

読売新聞 / 2024年10月24日 14時40分

 大阪を発祥の地とする日本維新の会が、関西を牙城とする公明党に宣戦布告した。両党候補はともに比例選への重複立候補を見送り、「背水の陣」で臨んでいる。

 「公明をぶっつぶす」

 公示日の15日夜、大阪市住之江区のスーパー前。維新共同代表で大阪府知事の吉村洋文(49)は、東徹(58)の応援演説で珍しく感情をあらわにし、こうまくし立てた。

 維新は看板政策「大阪都構想」の協力を得るため、これまで公明候補がいる大阪、兵庫の6選挙区で擁立を見送ってきた。都構想が2度の住民投票で否決された中、維新は昨年の統一地方選で、府・市両議会で初の単独過半数を獲得。「選挙区を譲る理由がなくなった」(幹部)とし、公明との全面対決に踏み切った。

 「つぶす」発言は波紋を呼び、公明前代表の山口那津男(72)は20日、住之江区内の演説で「知事失格だ。こういう人たちにまともな政治は期待できない」と猛反発した。

 吉村が激しい言葉を使うのは、維新の危機感の表れでもある。

 9月下旬、地域政党・大阪維新の会がまとめた府民調査では、「半年間で12・3ポイント支持が減少」したと報告され、党内に衝撃が走った。大阪・関西万博の会場建設費の上振れや、推薦した前兵庫県知事のパワハラ疑惑が原因との見方がもっぱらだ。

 前回衆院選では、公示前の4倍近い41議席を得て躍進し、全国政党化への足がかりを得た。今回初めて府内全19小選挙区に擁立し、3区は参院議員2期目だった東が名乗りを上げた。自民府議出身で、橋下徹(55)や松井一郎(60)と維新を創設したメンバーの一人だ。選挙戦では、自民の「政治とカネ」の問題を批判しつつ、「維新も問題を起こしたり、判断を誤ったりした」と釈明に追われる。

 「油断大敵」

 政治家を引退した松井から21日、こう書かれたメールを受け取った東は、「日本の政治を変えるためには、ここで負けられない」と気を引き締める。

 「高齢者に冷たい東には絶対に負けられない」

 公明副代表の佐藤茂樹(65)は21日、西成区の商店街で、高齢者の医療費窓口負担を3割に引き上げると掲げた維新の公約を厳しく批判した。

 大阪は支持母体である創価学会の強固な集票力から「常勝関西」と称される。昨年亡くなった名誉会長の池田大作が1956年の参院選で陣頭指揮を執り、学会の推薦候補を初めて国政に送り出した地でもある。池田が滞在した「花園旅館」は西成区にあったため、今も3区は特別な存在だ。

 選挙事務所内に置かれた「佐藤応援ノート」には、全国から集まった支持者がエールを書き込み、学会会長の原田稔(82)も「断固必勝!」と記した。96年の小選挙区制導入以降、新進党時代を含め、この地で議席を失ったのは、民主党政権が誕生した2009年だけとなる。

 佐藤は、維新との初対決に「かつてない厳しい情勢」と焦りを隠さない。前回選の3区で公明が得た比例票は約3万2000票で、維新の約7万6000票の半分にも満たない。

 そこで頼ったのは、前回選で一時は3区から出馬を模索し、比例選に回った自民前衆院議員の柳本顕(50)だ。柳本は自民市議時代、反都構想の旗頭として維新に対抗した因縁がある。15日に佐藤の出陣式でマイクを握った柳本は、3度目の住民投票阻止で合意したと明かし、「自民一丸となって応援する」と明言した。

 3区は前回選で無効票が10%を占めた。全国平均(2・45%)の4倍を上回っており、自民支持層の票が含まれると見る向きは多い。首相で自民総裁の石破茂(67)も20日、てこ入れに駆けつけ、佐藤を「大事な大事な同僚だ」と持ち上げた。

 3区では、共産党の渡部結(43)、無所属の中条栄太郎(55)、立憲民主党の萩原仁(57)も交え、終盤戦を迎えている。(敬称略)

(堀和彦、大阪社会部 岡田優香)

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