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富士「本栖湖」で大型外来魚「レイクトラウト」繁殖、ヒメマスが食い荒らされ解禁見送り…駆除へ調査

読売新聞 / 2024年10月24日 15時0分

 山梨県の富士五湖「本栖湖もとすこ」で、釣り客に人気のヒメマスが減少し、例年25日の漁の解禁が初めて見送られることになった。国内では中禅寺湖(栃木県)だけに生息していた大型外来魚レイクトラウトに食い荒らされたことが原因だ。放流されたとみられるが、山梨県が生息域の拡大を防ごうと駆除に向けて調査している。(富士吉田通信部 木村誠、写真も)

 本栖湖は面積が4・7平方キロ・メートルあり、湖面に映る「逆さ富士」は旧千円札の図案にもなった。通年で釣れるニジマスのほか、ヒメマスが春秋2回の漁期限定で解禁され、多くの釣り客が訪れていた。しかし数年前から、「全然釣れない」との声が相次ぐようになり、ヒメマス狙いの客は2017年の約1700人から23年には436人と激減した。

 不漁の原因はしばらく謎だったが、22年11月にレイクトラウトが釣り上げられ、「犯人」と推測された。県水産技術センターが網を使って調査したところ、捕獲魚の3割をレイクトラウトが占め、体内の内容物からヒメマスを捕食していることもわかった。

 釣り客離れはヒメマスの遊漁料(1人3150円)などの収入減につながるため、本栖湖漁協は今年からヒメマスの成魚のみを放流する対策をとった。しかし効果は乏しく、今月25日から1か月間の秋漁を見送ることにした。

 県は22年12月、県内の河川や湖などを対象に、レイクトラウトの放流や生きたままでの持ち出しなどを禁止した。今年から30匹以上のレイクトラウトの腹に発信器を入れ放流して行動を分析し、産卵場所を特定する調査を開始。効果的な駆除につなげたい考えだ。

 本栖湖に近い西湖には、絶滅したとされていたクニマスの生息が確認されており、同センターは「早く駆除を進め、生息範囲が広がらないようにしたい」としている。

 山梨での問題を受け、栃木県も昨年3月、中禅寺湖から生きたまま域外に持ち出すことを原則禁止とした。両県とも違反すれば1年以下の懲役や50万円以下の罰金などが科せられる可能性もある。釣り客らのマナーや意識の向上が求められる。

◆レイクトラウト=北米大陸北部に広く分布するサケ科の魚。1960年代、水産庁の研究所がカナダから中禅寺湖に導入して繁殖した。全長が1メートルを超える個体もいる。寿命が非常に長く、魚食性がある。繁殖のために川を遡上そじょうする必要がなく、湖だけで過ごせるのも特徴だ。

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