高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 萩生田光一氏、非公認でも「ほぼ非石破」の自民大応援団...街頭演説にみる政権への「大ブーメラン」
J-CASTニュース / 2024年10月24日 17時0分
無所属で出馬した萩生田光一氏(左)には「非石破」勢の応援が相次いだ。右は高市早苗前経済安保相(写真:アフロ)
衆院選(2024年10月27日投開票)で自民党から公認されず、東京24区(八王子市)から無所属で出馬した萩生田光一元政調会長が苦しいらしい。安倍晋三元首相の妻、昭恵夫人や、高市早苗前経済安保相が応援に入り、東京都の小池百合子知事はビデオメッセージを寄せた。20年来の盟友である松井一郎前大阪市長も駆け付けて応援している。それこそ非石破の旧友が総出だ。しかし、石破政権の執行部は無所属なのでまったく応援なしだ。ここに、今回の石破政権による解散劇の性格がよく現れている。はっきり言えば、これは、自民党組織内の抗争で旧安倍派潰しだからだ。
世論に迎合して一事不再理の原則破る
裏金というが、法的には政治資金収支報告書への不記載であり、今回の事件では既に東京地検が不記載額3500万円という基準で立件かどうかを判断している。過去には、鳩山由紀夫氏や小沢一郎氏、小渕優子氏らは億円をはるかに超える額の不記載があった。いずれも会計責任者が立件されている。その当時と比べると立件基準は下がっているが、少額で立件とはいかない。
いずれにしても、今回は処分済みであり、議論すべき問題はそれでないというのは、NHKなどの各種世論調査にも出ている。
「政治とカネ」に焦点があたっているのは、処分済み案件に追加処分して、どんな組織でも基本原則であるという一事不再理を石破政権が破ったからだ。世論に迎合したのだろうが、処分は足りないという声が出て収拾がつかなくなった。しかも、この追加処分が身内優先のダブルスタンダードだった。それに加えて、石破首相があらゆる所でブレるからさらに追加処分の変な期待がさらに加速した。結果として、政治とカネで外交・安全保障や経済政策の時間が奪われ、まったく議論は深まっていない。
旧安倍派を潰そうとして政権まで潰す勢い
その結果、石破政権への大ブーメランとなり国民の審判は厳しい。当初、自民で過半数割れもあり得るという程度だったが、今では自公で過半数割れもあるとなっている。
もちろん石破首相のブレが激しいのが大問題であるが、その上に私憤とも言える旧安倍派潰しの度が過ぎて政権まで潰す勢いだ。自公過半数割れがどうなるかにかかわらず、選挙後の自民党内抗争勃発は確実だ。
制度上の規定を整理しておこう。衆院解散後の総選挙の日から30日以内に特別会は召集される(憲法54条)。特別会の召集があった時には内閣は総辞職しなければならず(憲法70条)、内閣が総辞職した場合には国会において文民である国会議員から内閣総理大臣を指名しなければならない(憲法67条)。
戦後最短の政権は、1945年8月17日から10月9日の東久邇内閣の54日だ。特別会での首班指名の前に、自民党総裁は自民党の両院議員総会で交代すれば、戦後最短内閣になるかもしれない。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。
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