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BRICS会合 米欧への対抗軸にはなり得ぬ

読売新聞 / 2024年10月25日 5時0分

 ウクライナ侵略という国際法違反への非難を、新しい仲間作りの枠組みによってかわそうとするロシアの試みは、成功することはないだろう。

 ロシア、中国など新興5か国を中心とするBRICSの首脳会議が、ロシア中部カザンで開かれた。招待国を含む拡大会合には30か国あまりが出席した。

 今年の議長国ロシアのプーチン大統領は、1月にエジプトやイランなど4か国が加盟して9か国体制となったことを念頭に、「我々は膨大な潜在力を持っている」と述べ、求心力を誇示した。

 プーチン氏は今、国際的な孤立を深めている。BRICSの枠組みを米欧への対抗軸として位置づけ、より多くの新興・途上国「グローバル・サウス」を引きつけようとしているのは明らかだ。

 首脳会議ではBRICS内に「パートナー国」を新設し、トルコやインドネシア、タイなど13か国が加盟することで合意した。

 首脳宣言には、米欧と対立するロシアや中国などの意向が色濃く反映された。

 ウクライナ戦争の「対話と外交による平和的な解決」の必要性が明記されたが、先に中国とブラジルが示した和平案と同様に、露軍の撤退は求めなかった。また、米欧日などの対露経済制裁を「違法で一方的な措置」と非難した。

 だが、制裁を招いているのは、ロシアが侵略を続けているからだ。非難は的外れである。

 BRICS9か国の国内総生産(GDP)の合計は世界の3割を占め、先進7か国(G7)の4割超には及ばないが、成長を続けている。このため、少なからぬ国が経済的な実利を求めて中露の呼びかけに応じているのが実情だ。

 しかし、BRICS発足時からのメンバーであるインドやブラジルは、米欧とも安全保障や経済で協力を進めている。今回参加した他の国々も、多くは米欧や日本との対立を望んでいない。

 民主主義陣営としては、なぜBRICSが各国を引きつけているのかを分析し、より魅力的な協力を提案することによって、それらの国がロシアの陣営作りに利用されないよう努める必要がある。

 特に日本は、経済支援に加え、通商やエネルギー、海洋安全保障などの分野で協力を深め、今回の参加国とも一緒に共通のルール作りを進める努力が欠かせない。

 より多くの国が、自由で安定した国際秩序の恩恵を実感すれば、「反米欧」への傾斜を食い止めることにつながるはずだ。

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