1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

ヒョンデ「IONIQ 5 N」モータースポーツで培った技術を体感できる高性能EVだった

読売新聞 / 2024年11月8日 11時40分

運転席パネル中央にあるディスプレー。中央下部にはブレーキペダル51%という表示(停車時に強く踏み込んだ時の数字)が示されている

 韓国の現代自動車(ヒョンデ)の電気自動車(EV)「IONIQ(アイオニック)5 N」に試乗した。昨年2月に紹介した「IONIQ 5」の高性能モデルで、自動車レースにも出場できる仕様になっている。Nはヒョンデの高性能モデルに付けるブランドで、日本市場での販売は初めて。実際の運転ではモータースポーツで培った技術の一端を体感でき、好感度の高いクルマだった。

 ヒョンデは2015年から、研究開発拠点を韓国・南陽(ナムヤン)、開発テスト地はドイツ・ニュルブルクリンクにおいており、テスト地名に由来してNと名付けている。サーキット(競技用の環状コース)名でもあり、耐久レースのニュルブルクリンク24時間レースなどが開催されている。

最高出力650馬力、「IONIQ 5」の約4倍

 「IONIQ 5 N」は、名称こそ「IONIQ 5」と同じだが、まったくコンセプトが異なるクルマになっている。最高出力は478kW、650馬力だ。「IONIQ 5」の最高出力が125kW、170馬力なので、約4倍の差がある。

 ヒョンデがモータースポーツに乗り出したのは1998年で、現在は世界ラリー選手権(WRC)などに参戦している。2022年のラリージャパンでは1、2位というワン・ツーフィニッシュを成し遂げている。このクルマにはモータースポーツで培った技術を投入している。

ガソリン車のように排気音を出す機能、反応の良さが心地よい

 実際に運転してみると、このクルマのすごさを実感する。

 前輪と後輪にモーターを搭載する四輪駆動方式で、後輪モーターの方が高い出力を持つ。バッテリーは84kWhの大容量で、車体の総重量は2トンを超える。

 アクセルペダルを踏み込んでいくと、反応よく加速した。EVなので、ガソリン車のように排気音(エキゾーストノート)は本来ない。だが、疑似エキゾーストノートの設定がある。音はガソリン車のようなタイプ、ゲームの効果音のようなタイプ、超音速機のソニックビームをイメージしたタイプの3種から選ぶことができる。

 他社にも同様の機能がついたクルマはあるが、このクルマは音のズレなどもなく、ペダルとエンジン音の反応差などが実に自然で、心地よい響きだった。

 また、運転席パネル中央にあるディスプレーで様々な設定ができるが、アクセルやブレーキの踏み込み具合をパーセントで表示もしてくれる。日常の走行ではあまり必要ないが、レース場の走行では様々なデータとして活用できるだろう。

 車体重量が重いことは高速走行では安定性につながる。レースにも対応できるほどコーナリング性能が高く、高速道路の車線変更やカーブを曲がる際はクルマがぶれることもなく、適切かつ効率良く走行してくれた。

ボディー剛性を強化、レース用の機能も多彩

 「IONIQ 5 N」は、ベース車両の「IONIQ 5」より、スポット溶接の箇所を増やすなどしてボディー剛性を高めているという。レース走行では車体に負荷がかかると、しなりなどの(ゆが)みが出て、ハンドリングやサスペンションなどの性能に影響がでる。その影響を減らすのが、ボディー剛性だ。日常の走行では、十分すぎる性能といえる。

 また、ハンドルの右側に赤い「N Grin Boost」というボタンがある。通常の最大出力は448kW(609馬力)に設定されており、これを使うと10秒間だけ本来の最大出力478kW(650馬力)に上昇する。周囲にクルマがいないタイミングを見計らって試してみた。作動させる前と同じアクセルの踏み込み具合なのだが、ものすごい加速であった。

 このほか、ドリフトコントロールしやすい設定などもあるが、さすがに今回の試乗では試す場面がなかった。

 シートも前席(運転席、助手席)は体を包み込むような形状で、スピードを出しても傾くことはない。一方、後席は普通の形状なのでスピードや運転によってはやや不安定になるだろう。

 韓国車というと足回りが柔らかめという印象がある。足回りが柔らかいとは、サスペンションが路面の凹凸の衝撃を吸収しやすいように設定されていて、ふわふわとした乗り心地のことを指す。しかし、レース仕様の上、サスペンションがN専用電子制御のものを搭載しており、そういう印象は一切なかった。

 このクルマ、日常使うにはややオーバースペックかもしれない。だが、モータースポーツで培った技術の一端を体感することができる。日常の運転も楽しくなるのは間違いないクルマである。(デジタル編集部 松崎恵三)

【仕様・主要諸元】
 ▼全長・全幅・全高(ミリ) 4715・1940・1625
 ▼最高出力(kW)     478
 ▼バッテリー容量(kWh) 84
 ▼価格 858万円(オプションは除く)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください