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「過酷な状況下、人間は何か勝手に行動するもんなんですね」…山田孝之が「十一人の賊軍」で罪人役

読売新聞 / 2024年10月26日 15時52分

 戊辰戦争のさなか、決死隊となった罪人たちと武士の姿を描いた「十一人の賊軍」が11月1日に公開される。仲野太賀とダブル主演した山田孝之は、「気合を入れても、ついていくのがやっと、というような場所に行かなきゃと思った」と過酷な現場になることは覚悟の上で出演を決めたという。(松田拓也)

 舞台は旧幕府派の列藩同盟に参加していた新発田藩(現在の新潟県)。家老の溝口(阿部サダヲ)は新政府軍の侵攻を防ぐべく収監中の罪人を集め、とりでの護衛を命じる。

 実は、溝口は新政府軍への寝返りを画策し、命令は出兵を求める同盟軍が城に押しかける中、新政府軍を足止めするための作戦だった。そんなことはつゆ知らず、罪人のまさ(山田)らは「勝てば無罪放免」という約束を信じ、そして家臣の兵士郎(仲野)は新政府軍を撃退するため、戦いに身を投じる。

 原案は、史実に着想を得て「仁義なき戦い」シリーズなどの名脚本家・笠原和夫(2002年死去)が60年前に執筆するも、映画化には至らなかったプロット。山田にとっては「凶悪」(13年)以来の共作となる、白石和彌かずや監督がメガホンをとった。

 「凶悪」の撮影現場の経験から、「監督の作品の登場人物は極限状態に置かれることが多く、現場で追い詰められることも分かっていた」。尻込みしそうになったが、「10年たって昔の傷も癒え、『もう一回白石さんとやろう。一発、気合入れるか』と思えたのと、(初共演の)仲野太賀とがっつり芝居ができる。この二つで、出ることを決めました」

 政は、妻を襲った武士を殺害して罪人となり、望んでもいない、新発田藩を救うための戦いに放り込まれる。「人として扱われない苦しさ、大切な人と引き裂かれてしまった精神的な苦痛。そして嵐もあれば、はりつけにされ、埋められ……。身体的なダメージも加わり、(政として)より、怒りがこみ上げてきた」

 劇中、多くの部分を占める砦での一連のシーンは約2か月間、山と岩に囲まれた千葉県鋸南きょなん町の屋外セットで撮影された。そこでの尾上右近、千原せいじら個性的な“賊軍”の仲間たちとの日々を振り返り、「雰囲気はめちゃくちゃ良かった。つらいから、待ち時間はバカ話ばかり。過酷な状況下、飯食って寝るだけだと心が死んでいくので、人間は何か勝手に行動するもんなんですね」と笑う。

 新発田藩、新政府軍、同盟軍の三者の思惑が交錯する物語だが、「悪人が一人もいない。そこに気づいてほしい」と言う。「いつの時代だって、どこだって争いは大なり小なり起きているけれど、一番大事なのは思いやり。愛を持って接すること、助け合うことなのでは。そんなことを感じ取ってもらえたらうれしい」

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