女川原発2号機を午後に再稼働、東日本大震災後の東日本で初…福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉
読売新聞 / 2024年10月29日 13時21分
東北電力は、女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2号機(出力82・5万キロ・ワット)の再稼働に向け、設備の最終点検を進めている。29日午後に原子炉を起動し、発電再開の準備に入る。武藤経済産業相は同日午前、閣議後の記者会見で電力需要の増加が見込まれることなどを念頭に、「東日本の原子力発電所の再稼働は極めて重要だ」と述べた。一方で安全対策の徹底が求められる。
2011年の東日本大震災後、東日本に立地する原発の再稼働は初めて。震災で事故が起きた東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)の再稼働も初となる。
東北電は安全対策として、最大23・1メートルの津波を想定した防潮堤(海抜29メートル、総延長800メートル)のほか、放射性物質の漏えいを抑えながら原子炉格納容器内の圧力を下げるフィルター付きベント(排気)装置などを整備。原子炉起動後は作業内容を日報として発信し、トラブルなどがあった場合は重要度に応じて適切に公表するとしている。樋口康二郎社長は「安全対策に終わりはない。地域社会から信頼されるよう再稼働させたい」と話している。
国内の電力需要は、AI(人工知能)やデータセンターの普及などで増加が見込まれている。政府は、電力の安定供給と脱炭素社会の両立を図るため、既存原発の再稼働とともに、安全性を高めた次世代原発の開発や建設を進める方針を打ち出している。
全国の原発で新規制基準の安全審査に合格したのは17基で、これまでに12基が再稼働している。女川原発の後には、中国電力島根原発2号機(松江市)が12月上旬に再稼働を予定している。
これに対し、安全審査を通過した東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)は、再稼働に必要な地元自治体の同意を得られる見通しが立っていない。今年1月の能登半島地震を踏まえた避難対策の強化を求める声も上がっている。
◆沸騰水型軽水炉(BWR)=原子炉内で発生させた蒸気で直接タービンを回して発電する。原子炉で熱した高圧の水を蒸気発生器に送り、発生した蒸気をタービンに送る加圧水型軽水炉(PWR)に比べ、構造が単純で小型化しやすい。一方で、炉心損傷後の事故の進展が速いとされる。
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