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バレエ・オペラ舞台の大ホール、首都圏で休館相次ぐ…日本バレエ団連盟「公演活動の衰退目に見える」

読売新聞 / 2024年10月29日 15時54分

休館が発表された上野の東京文化会館

 またしても、本格的なバレエやオペラが上演できる大ホール不足問題が首都圏で顕在化した。9月末、東京文化会館(上野)が大規模改修のため、2026年5月から28年度中まで休館すると都が発表したのだ。

 同館は1961年に開場。2303席の大ホールは舞台面もバックヤードも広く、大規模セットを要するバレエ、オペラを上演するには最適の空間だ。

 「2000席以上」は、海外人気カンパニーを招聘しょうへいする団体には重要な条件だ。莫大ばくだいな経費を要するため、入場料金を下げるにはより多くのチケットを売らないといけないからだ。

 問題は、同規模の神奈川県民ホール(横浜、定員2493人)、オーチャードホール(渋谷、2150席)の代替使用が難しそうなこと。前者は老朽化のため来年4月から期間未定で休館予定で、後者は隣接する施設の工事の影響で2027年度中までフルに営業ができず、その上、ホールが入っている複合文化施設も大規模改修が予定されている。

 こうなると、世界バレエフェスティバルや英国ロイヤル・バレエ団の来日公演など、東京文化会館で開催されてきた人気公演はどうなるのか? 規模や使用条件が違う会場で開くとなれば、これまでと同様の期間や入場料、質を保って行えるかは、わからない。

 一方、首都圏のバレエ団も会場確保が大変な状況だ。新宿文化センター、府中の森芸術劇場、川口総合文化センター・リリアなどバレエ向きの大ホールが軒並み改修工事で休館しているのだ。

 同様の問題は15年にも浮上した。同年9月、ゆうぽうとホール(五反田)が閉館。翌年に横浜アリーナなど大型施設の休館も予定されていたことから、ロック歌手、伝統芸能やバレエ団の代表者らが記者会見を開き「国全体の問題として位置づけてほしい」と強く訴えた。

 だが、その訴えもむなしくさらに状況は悪化し、メルパルクホール(芝公園)が閉館した。

 今回、日本バレエ団連盟は声明を発表した。「劇場なくしては、公演活動の衰退は目に見えています」とした上で、〈1〉東京文化会館の休館期間の短縮〈2〉劇場の改修時期が重ならないよう事前調整を行うこと〈3〉オペラやバレエの上演に適した新たな劇場の建設――を各方面に要望していくという。

 舞台芸術は日々進化する。世界の第一線の表現に触れられる来日公演が3年近くも途絶えたら、日本のバレエやオペラは世界の潮流から取り残されかねない。この3点の要望を今回こそ、真剣に考え、実現するべきだ。(編集委員 祐成秀樹)

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