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南シナ海の緊張 フィリピンを孤立させるな

読売新聞 / 2024年10月30日 5時0分

 南シナ海に位置し、台湾に近いフィリピンの安全は、東アジアの安定に欠かせない。そのフィリピンが中国の圧力にさらされ、孤立化の様相を深めつつある。

 周辺国はこの事態を傍観していてよいのか。

 南シナ海のパグアサ島沖をパトロールしていたフィリピン船が今月、中国船に体当たりされ、船首を損傷した。

 前日には、フィリピンのマルコス大統領が、ラオスでの中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、「我々は嫌がらせや脅迫を受け続けている」と述べ、中国に南シナ海での威圧的な行動をやめるよう求めていた。

 フィリピン一国で中国に対抗するのは限界がある。しかし、他のASEAN加盟国は、対中批判よりも対話を通じた解決を求める姿勢が目立った。

 中国は最近、ベトナムやマレーシアに李強首相を派遣するなど首脳外交を活発化させている。両国とも中国と領有権争いを抱えているが、経済関係を重視し、窮状にあるフィリピンへの支援に積極的に動きにくいとみられる。

 中国としては、ASEANを分断して対中強硬姿勢が突出しているフィリピンを劣勢に追いやり、南シナ海での中国の影響力を拡大する狙いがあるのだろう。

 南シナ海では、中国海警局の船が比船に故意に衝突したり、放水したりする事案が相次いでいる。海上に加え、最近は中国軍のヘリコプターがフィリピン当局の航空機に異常接近するなど、空でも挑発を繰り返している。

 2年前に政権に就いたマルコス氏は、対中抑止力を強化するため、ドゥテルテ前大統領の対中融和路線を改め、日本や米国との安保協力を進めている。

 米国とは昨年、防衛協力強化協定(EDCA)に基づき、米軍が一時的に駐留できるフィリピン国内の拠点を4か所増やして9か所にした。新拠点は、南シナ海に面したパラワン島近くの島や、台湾に近い北部も含まれる。

 日本は今年、自衛隊とフィリピン軍の共同訓練をしやすくする「円滑化協定」を結んだ。韓国も今月、フィリピン軍の装備の近代化に韓国が協力することなどでフィリピンと合意した。

 日米韓など周辺国はフィリピンへの支援を強化すると同時に、他のASEAN諸国を含む国際社会に対し、南シナ海の安定の維持と中国を抑止する必要性を訴える外交努力を続けねばならない。

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