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自公過半数割れ、政策実現は「地獄の道」…野党の要求優先し「石破印」実現できない可能性も

読売新聞 / 2024年10月31日 5時0分

記者会見で衆院選の結果などについて語る石破首相(左)(28日午後、自民党本部で)=川口正峰撮影

[自公惨敗]<下>

 29日夜、東京・紀尾井町のホテルにある中国料理店で、石破首相(自民党総裁)は8人の首相秘書官と円卓を囲んだ。今後の政策展開について2時間近く議論し、首相は「これから大変になると思うけど、頑張っていこう」と呼びかけた。

 自民、公明両党は衆院選で過半数を割り込み、今後は野党の協力を得なければ、法案も予算案も国会で成立させられない。野党が委員長ポストを握る委員会が増え、審議が滞る事態も予想される。野党の要求を優先し、「石破印」の政策が実現できない可能性がある。

 首相は国民民主党との連携を模索し、周囲に「自民と考えが近い人が多く、話はできる」と不安を振り払うかのように語る。

 ただ、霞が関は動揺している。内閣府幹部は「国民民主の公約を読み込んでいる」と明かし、事務次官の一人は「首相官邸の力は確実に弱まる」と言い切る。

 国民など野党は、衆院選で大幅な財政支出が必要となる公約を掲げており、取り入れれば財政健全化は遠のく。岸田前首相は6月に所得税などの定額減税を始めたが、内閣支持率は回復せず、「バラマキは政権浮揚につながらない」(財務省幹部)との声も根強い。

 外交にも影を落とす。岸田内閣の閣僚経験者は米国政府が与党の大敗を受け、防衛増税の先行きや中国への抑止力の低下を懸念していると耳にした。

 首相は防衛増税の開始時期を年内に決める方針を示したが、野党は増税に反対だ。東アジア情勢が緊張感を増す中、防衛力強化の財源確保が揺らぎ、日本が応分の負担を担う責任を放棄したと映れば、日米関係に影響を及ぼしかねない。

 首相は11月5日の米大統領選後、早期に次期大統領と会談したい考えだ。11月中旬の外遊では中国の習近平シージンピン国家主席との会談も調整するが、国内で指導力の発揮に苦しむ首相と、各国首脳がどこまで本音で向き合ってくれるのかは見通せない。

 「これからの政策遂行は地獄の道となる」。政府高官はこう先行きを案じた。(この連載は政治部・海谷道隆、清永慶宏、中田征志が担当しました)

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