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北ICBM発射 世界を敵に回す危険な挑発だ

読売新聞 / 2024年11月1日 5時0分

 北朝鮮がロシアへの派兵に続き、米国全土を攻撃できるミサイルの発射実験を行った。欧州とアジア太平洋の両地域の安定を脅かす暴挙である。断じて容認できない。

 ミサイルは大陸間弾道ミサイル(ICBM)級で、日本海に向けて少なくとも1発発射された。過去最長の約86分間飛行し、到達高度もこれまでで最も高い7000キロ・メートル超だった。

 高角度の「ロフテッド軌道」で打ち上げられたと推定される。通常の軌道で飛んだ場合、米全域が射程内に収まるとみられる。

 11月5日に大統領選の投開票を控える米国に対し、ミサイル開発の進展を誇示し、揺さぶりをかける狙いがあるのだろう。

 さらに深刻なのは、北朝鮮が2017年以来7回目となる核実験を、米大統領選前後に行う可能性が指摘されていることだ。韓国政府は、北朝鮮北東部・豊渓里の核実験場で内部の準備をほぼ終えたとの見方を示している。

 米本土攻撃を想定したICBM搭載の核弾頭に加え、在韓・在日米軍基地攻撃を念頭に置いた短・中距離ミサイル用の低出力の戦術核兵器の開発も進めている。日米韓にとって重大な脅威となる。

 北朝鮮の核開発や弾道ミサイル発射を巡っては、日米などが国連安全保障理事会決議に基づき、繰り返し制裁を科してきた。

 にもかかわらず、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は「核武力強化路線を絶対に変えない」と主張している。ロシアが北朝鮮を擁護してきたからにほかならない。

 しかも、北朝鮮制裁の履行状況を調べる安保理の専門家パネルは今年、ロシアが任期延長決議案に拒否権を行使したため廃止されてしまった。6月には、露朝いずれかが武力侵攻を受けた際に軍事援助を行うとした条約を結んだ。

 ロシアはウクライナ侵略で、核使用の可能性をほのめかしている。北朝鮮は公然と核開発を進める一方で、ロシアに派兵し、侵略に加担しようとしている。

 今年のノーベル平和賞に「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」が選ばれたように、核兵器が人類に与える危険性を国際社会に強く訴えることが求められる中で、核による威圧をやめない露朝の異様さが際立っている。

 北朝鮮を支え、ロシアとも密接な関係にある中国の行動が問われる。中国が露朝の暴走を傍観し、事実上容認する態度を取るようでは、中国自身の国際的な信頼が大きく損なわれることになろう。

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