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同性婚訴訟 理解に苦しむ高裁の違憲判決

読売新聞 / 2024年11月2日 5時0分

 同性カップルの結婚を認めるかどうかは、家族制度の根幹に関わる問題で、社会の幅広い議論が必要だ。憲法解釈のような法律論争によって結論を導くべきものではない。

 同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、東京都の同性カップルらが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁であった。

 判決は、賠償を認めなかったものの、現行の民法などについて「性的指向により法的な差別的取り扱いをするものだ」と述べた。その上で、法の下の平等を定めた憲法14条などに反するとした。

 男女が結婚すると、配偶者としての相続権や税制上の優遇措置などの法的利益が得られる。同性カップルがこうした利益を得られないことは不当だという判断だ。

 性的指向は、本人の意思によって変えることができない。同性カップルだという理由で差別を受けることがあってはならないし、一緒に暮らすことも自由である。しかし、そうであっても今回の高裁判決には違和感を禁じ得ない。

 憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると定めている。この文言が男女の異性婚を指していることは明白だ。

 婚姻制度は、男女が共に生活し、子供を育てる営みを基礎として作られた。憲法制定時、同性婚の可否など全く議論されていない。従って、民法や戸籍法に規定がないのは当然のことだと言えよう。

 世界人権宣言も、婚姻は「男女」の権利だと明記している。

 ところが高裁判決は、憲法が同性婚を想定していないことを認めながら、民法などに規定がないのは違憲だと結論づけた。憲法が想定しない事態が、なぜ憲法違反になるのか。理屈に合わない。

 同性婚訴訟は、全国の地裁や高裁で「合憲」「違憲状態」「違憲」と判断が分かれている。

 同性婚の問題を憲法が想定していないことをおかしいと言うのなら、同性婚を認めるよう憲法改正を主張するのが筋だろう。

 判決は、同性婚に賛成する人が大半だという近年の世論調査結果に基づいて、「社会的受容度は高まっている」と指摘している。

 同性カップルを公に認めるパートナーシップ制度の導入や、夫婦同様の休暇や手当を認める自治体や企業が増えていることは事実だ。ただ、家族制度の考え方は多様で、世代によっても異なる。

 同性婚の制度化は立法の問題である。国会などで、様々な観点から熟議することが必要だ。

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