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与党と国民民主 信を失った首相に協力はなぜ

読売新聞 / 2024年11月2日 5時0分

 衆院選で少数与党に転落した自民、公明両党が政権を担い続けるため、野党に協力を求めること自体は間違っていない。だが、そのための手順が逆ではないのか。

 まず選挙で敗れた首相が責任を取って身を処し、後継の自民党総裁の下で、新たな連立の枠組みを模索するのが筋だろう。

 自民、国民民主両党の幹事長らが会談し、公明を含めた3党で政策協議を始めることを決めた。

 自公両党は衆院選で過半数を割り込んだ。国民民主との政策協議は、予算案や法案の成立を確実なものにする狙いがある。

 だが、それなら正式に連立への参加を求めるべきだ。しかし、自民は会談で国民民主に対し、様々な政策を協議する会議体の設置を要請した。国民民主は個別の政策ごとに協議する方式を主張し、自民は受け入れた。

 国民民主が個別案件ごとの協議にこだわったのは、選挙で信を失った首相と連立を組むわけにはいかない、と考えたからだろう。

 また、正式な連立となれば様々な政策について共同責任を負うことになる。それを回避し、自党に有利な案件だけを進めたいということであれば、その都度法案の行方が左右され、政局の安定にはつながらない。

 国民民主は、年収が103万円を超えると所得税がかかる「年収の壁」の引き上げや、ガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の発動を求めている。こうした政策も財源問題が棚上げとなり、バラマキが横行しかねない。

 石破氏は2007年の参院選で自民が惨敗した際、安倍首相に退陣を迫った。09年の衆院選前にも、支持率が低迷していた麻生首相に退陣を促した。

 ケジメをつけることが大切だ、と主張していたのに、自らが首相の座に就くと責任論に目を背け、居座っているようでは、信頼を得られるはずがない。

 「ルールを守る」という衆院選で掲げた首相のスローガンは、一体何だったのか。

 一方、国民民主は特別国会での首相指名選挙で、石破氏と立憲民主党の野田代表の決選投票となった場合、どちらも選ばず、玉木代表の名を書くという。

 上位1、2位の選択である決選投票で棄権か白票を選ばず、自党の代表名を書くという行為自体、決選投票の意味をないがしろにするものと言わざるを得ない。

 首相の延命に手を貸し、有権者の理解が得られるのか。

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