ウクライナ系住民に共和離れ…激戦州ペンシルベニア、「ロシア寄り」トランプ氏再選「絶対に阻止」
読売新聞 / 2024年11月2日 8時16分
米大統領選で激戦が続くペンシルベニア州では、これまで共和党支持者が多かったウクライナ系住民の間で同党のトランプ前大統領への反発が強まっている。トランプ氏が当選すると、ウクライナを侵略するロシアが有利になると懸念しているためだ。最終盤を迎えた選挙戦でウクライナ系の票の行方に注目が集まっている。(ペンシルベニア州フィラデルフィア 金子靖志、写真も)
「ロシアの侵略を機に大統領選への考え方が大きく変わった。トランプ氏に前回投票したウクライナ系の多くが今回、ハリス副大統領に投じるだろう」。全米ウクライナ人会議フィラデルフィア支部のユージーン・ルシウ会長(66)は10月27日、フィラデルフィア郊外で取材に応じ、こう語った。
ウクライナ支援の継続を掲げる民主党候補のハリス氏に対し、トランプ氏は当選すれば「24時間以内」に侵略を終わらせると豪語しているが、実現可能性に疑問が持たれている。プーチン露大統領との友好関係を強調しており、ウクライナの主権や領土保全が軽視されるとの懸念も出ている。
米国には、ウクライナを含む旧ソ連構成国やソ連の衛星国だった東欧諸国から多くの人々が共産主義体制を逃れて移住してきた。ペンシルベニア州の東欧系住民は約100万人に上るとされ、フィラデルフィア近郊には大規模なコミュニティーが形成された。ソ連に強硬姿勢を取ってきた共和党を支持する傾向が強い。
ルシウ氏も共和党員だが、今回の選挙ではハリス氏に投票するつもりだ。ウクライナ系の動向が「選挙結果に大きな影響を与えるだろう」とみている。
ペンシルベニアの人口約1300万人のうち、ウクライナ系は12万人超にすぎない。だが、2016年大統領選でトランプ氏が約4万5000票差で勝利し、20年は民主党のバイデン大統領が約8万票差で制するなど、いずれも勝敗は僅差だった。米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」がまとめた10月31日時点の世論調査平均支持率によると、トランプ氏のリードはわずか0・6ポイントだった。
フィラデルフィア中心部では10月26日、ウクライナ系住民ら約200人がハリス氏に投票するよう呼びかける集会が開かれた。主催者の一人でウクライナの首都キーウ出身の大学職員イリヤ・クニジニク氏(41)は「ウクライナに両親を残し、親族を持つ住民も多く、トランプ氏の再選に皆がおびえている。絶対に阻止しなければ」と力を込めた。
一方、州内の東欧系住民の中で最多の約80万人が暮らすポーランド系の多くは、トランプ氏に投票する見通しだ。
フィラデルフィアに本部を置くポーランド系米国人文化センターのマイケル・ブリチャシュ会長は「ハリス氏ではプーチン氏と交渉できないが、トランプ氏ならできる」と話す。トランプ氏の当選でロシアを利する懸念については「ポーランドはNATO(北大西洋条約機構)に加盟している。心配ない」と
ペンシルベニア大のエカテリーナ・ロコマン上級講師(39)は「ウクライナへの深い愛着がない若い世代はトランプ氏に投票する可能性があり、ウクライナ票の全てがハリス氏に向くわけではない」と指摘した。
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