立憲民主が存在感発揮に苦慮、「野党結集」主導できず…「国民民主に埋没しかねない」と危機感
読売新聞 / 2024年11月2日 21時52分
衆院選で議席を大幅に伸ばした立憲民主党が、存在感の発揮に苦慮している。国民民主党がキャスチングボートを握る存在として注目を集める一方で、立民は各党との基本政策の違いなどから「野党結集」を主導できず、政権交代に向けた機運を高められていない。
「野党が力を合わせればダイナミックな動きになる。一致点をどんどん見いだしていきたい」
立民の野田代表は1日の記者会見で、野党間の連携強化に強い意欲を示した。
野田氏は10月30日に日本維新の会の馬場代表、共産党の田村委員長と個別に会談し、協力を求めた。11月5日には、国民の玉木代表とも会談する予定で、野党への働きかけを強めている。
与党が衆院で過半数割れとなる中、躍進した立民は自民党の政治資金問題を受けた政治改革などを旗印に野党を結集させ、政権交代への道筋を付けたい考えだ。
ただ、特別国会の首相指名選挙を含め、各党から協力を得られるかは不透明だ。維新や国民は、エネルギーや憲法問題などを念頭に「基本政策の一致が条件だ」と慎重姿勢を崩しておらず、多数派工作は難航している。
対照的に存在感を高めているのが国民民主で、立民内では「このままでは国民民主に埋没しかねない」(幹部)と危機感が広がる。
1日の記者会見で野田氏は「手取りへの影響で、より深刻なのは社会保険料の負担が生じる『130万円の壁』だ」と強調した。年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の見直しを国民が掲げていることを踏まえた発言で、強い対抗心をにじませた形だ。
立民は小選挙区で議席を大きく増やしたものの、比例選での得票は、前回2021年衆院選から7万票の上積みにとどまった。野田氏も「(立民の)底力が上がったのではない。はしゃいでいる場合ではない」と認めており、来夏の参院選に向けて党勢拡大や候補者の擁立作業の加速が急務だ。
共産との距離感も課題となる。共産は首相指名選挙での協力に前向きだが、連携を深めれば、野田氏が掲げる「中道路線」に疑問符がつきかねない。党内には、「また『立憲共産党』とやゆされる」(ベテラン)と懸念する声も出ている。
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