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日銀の金融政策 舵取りの難しさが増している

読売新聞 / 2024年11月3日 5時0分

 衆院選で与党が過半数を失い、石破政権の基盤は不安定になった。日本銀行の金融政策のかじ取りも難しくなりそうだ。

 日銀は金融政策決定会合で、政策金利を0・25%程度に維持することを決めた。7月に利上げを決定して以降、2会合連続で金利を据え置いた。

 衆院選で与党が大敗し、経済政策運営の先行きが不透明になっている。与党が、部分連合を模索している相手の国民民主党は、積極的な財政政策や金融緩和策を主張し、利上げを進める金融政策の正常化には慎重とみられている。

 11月5日に控える米大統領選の結果も、日米の経済に大きな影響を与える。植田和男総裁は、こうした状況を踏まえ、今回は追加利上げを見送ったのだろう。

 植田総裁は記者会見で、今後の政策運営について、景気回復が想定どおりに続けば、「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と改めて述べた。

 これまで追加利上げには、「時間的な余裕がある」と説明してきたが、米国の景気後退などのリスクが低下したとして、この表現は「今後使わない」と指摘した。

 日本経済は、賃金と投資が増える「成長型経済」へと転換していくべき局面にある。活力ある日本経済の実現に向けて、金融政策の正常化を進めることは大切だ。

 ただし、物価変動を反映した実質賃金は2022年春以降、長くマイナスが続き、いまだ安定的にプラスへと転換していない。

 先行きの不安などから、家計の節約志向は強く、消費が力強さを欠く面もある。日銀は政策変更の時期を丁寧に判断してほしい。

 懸念されるのが、外国為替市場で円安・ドル高の傾向が強まっていることである。

 9月半ばに一時、1ドル=139円台まで上昇したが、今は150円を超える水準にある。円安は輸入物価の上昇を通じて物価を押し上げて、家計を苦しめる。日銀は、為替市場にも十分な注意を払っていくことが大切だ。

 日銀の金融政策を巡っては、政治家の発言で利上げに関する思惑が揺れ動き、金融市場が乱高下することが相次いでいる。

 石破首相が10月2日に植田総裁と面会後、利上げについて、「個人的には、そのような環境にあるとは思っていない」と述べると、円安・株高が急速に進んだ。

 政府と日銀が密接な意思疎通を図ることは望ましい。だが、利上げ時期といった具体的な手法は、日銀の判断に委ねるべきだ。

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