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改憲勢力が衆院の3分の2割り込み、改憲機運の後退必至…日本国憲法公布78年 

読売新聞 / 2024年11月4日 6時4分

 日本国憲法は3日、公布から78年を迎えた。衆院選では自民、公明両党が大幅に議席を減らし、憲法改正に前向きな改憲勢力が、国会発議に必要な総定数の「3分の2」を割り込んだ。石破首相(自民党総裁)は来年の自民結党70年にあわせた発議に意欲を示すが、改憲機運の後退は避けられない情勢だ。

 「来年、結党70年を控える中、党是である憲法改正を前に進めていく。与野党の枠を超え、3分の2以上の賛成が得られるよう、精力的に取り組む」

 首相は衆院選から一夜明けた10月28日の記者会見で、こう宣言した。

 ただ、衆院選の大敗で、道のりは険しさを増している。

 公示前には、改憲に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主各党と無所属会派の勢力は、衆院で総定数の3分の2(310議席)を上回る計334議席あった。今回、立憲民主党が議席を増やし、改憲勢力は285議席に減った。改憲を掲げて新たに議席を得た日本保守党(3議席)や、無所属で当選した旧安倍派議員らを足しても、3分の2には遠く及ばない。

 立民の野田代表は11月1日の記者会見で、立民について「論憲の立場だ」と説明し、「議論の場があるなら、きちっと議論していきたいが、改正前提ではない」とけん制している。

 先の通常国会の衆院憲法審査会では、大規模災害時などに国会議員の任期延長を可能にする緊急事態条項の「骨格」となる論点整理案を自民が示し、公明、維新、国民の3党も条文案作成に賛同した。

 さらに自民の憲法改正実現本部は9月、岸田首相(当時)出席のもとで、緊急事態条項創設と自衛隊明記に対応するための論点整理をまとめた。参院でも改憲勢力が「3分の2」を維持している来年夏の参院選までの発議を念頭に、「取り組みを新総裁に引き継いでもらう」(岸田氏)狙いがあった。

 石破首相は就任後、取り組みを引き継ぐ考えを示し、10月4日の所信表明演説でも「首相に在任している間に発議を実現していただくべく、建設的な議論を期待する」と表明していた。

 だが、衆院選で自公両党が過半数割れの「少数与党」に陥り、改憲に注力することは難しくなりそうだ。予算案や法案を成立させるためには野党の協力が欠かせず、「綱渡り」の国会運営が続くためだ。自公は議席の減少に伴い、憲法審の委員も少なくなる見通しで、自公主導で改憲議論を推進することも困難となることが予想される。

 もっとも、具体的な改憲項目を巡っては、自民や維新が積極的な自衛隊明記に対し、公明内では慎重意見が根強く、改憲勢力の中でも、足並みがそろっているとは言えない。

 自民の憲法族議員は「国会で改憲の話が進みにくくなれば、改憲に向けた党内の機運もしぼみかねない」と懸念している。

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