ホットドッグ早食い王の小林尊さん「日本で大会作りたい」…引退機に後進育成や食育にも意欲
読売新聞 / 2024年11月4日 22時40分
【ニューヨーク=小林泰裕】ホットドッグの早食い王として知られる小林
小林さんは9月2日、米ラスベガスで行われたライバルのジョーイ・チェスナットさん(40)とのホットドッグ早食い対決で、約5年ぶりに競技に復帰した。10分間で66個を食べたが、チェスナットさんの83個に届かず、試合後に早食い競争からの引退を表明した。
小林さんは10月下旬にオンラインでインタビューに応じ、「もう一度世界一になって引退したかったが、できることはやった」と話し、「多くの友人が日本などから応援に来てくれて、これ以上うれしいことはなかった」と振り返った。
小林さんは2001年、米国の独立記念日に毎年行われるニューヨークのホットドッグ早食い大会に初出場。12分間で50個を平らげ、当時の記録を2倍に更新した。それ以来、同大会で6連覇を達成。07年にチェスナットさんに敗れて連覇は止まったが、「この小さな体(身長1メートル73)で誰にも想像できないことをやってきた」と胸を張る。
小林さんの活躍を契機に、米国では早食い競争が「スポーツ」として注目されるようになった。体格の良い米国人らに交じり、きゃしゃな日本人がのみ込むように次々とホットドッグを食べる姿は多くの米国人を熱狂させた。9月のチェスナットさんとの対決は米動画配信大手ネットフリックスで生配信され、米主要メディアが結果を速報するなど大きな注目を集めた。
小林さんは「誰よりも最初に本気になって取り組んだことでムーブメントを起こせたのだと思う」と話す。
小林さんはソーセージを半分に折って先に食べた後、パンを水と一緒にのどに流し込むという食べ方(通称「ソロモンメソッド」)を確立した。胃を広げるため、大会前には数日に一回の頻度で3ガロン(約11リットル)の水を90秒で飲み干すトレーニングを重ねるなど、アスリートとして努力を重ねたことも強さの理由だった。
「フードファイトを本気で始めた時から、これをスポーツにすることが夢だった」といい、「野球の大谷翔平選手のように、スター選手がいるとそのスポーツの人気は高まる。僕が米国でそういう存在だと見てもらえているなら、これからもこのスポーツに貢献していきたい」と話した。
デビュー以来、食べたホットドッグは1万個に上る可能性があるという。一方、食欲や満腹感を感じられなくなるなど、体に不調を感じるようにもなった。「フードファイトは早く食べることだけにフォーカスすると体を壊す」と話し、今後は食育にも力を入れて行く考えだ。
小林さんは長く拠点とした米国を離れ、現在は日本で生活している。次の目標について「日本でも早食い大会をつくりたい。早食いのルール作りや環境整備に取り組み、若い選手が活躍できる場所を提供していきたい」と話した。「日本でおいしいホットドッグをつくって、いつか米国で販売したい」との夢も語った。
こばやし・たける 1978年、長野市出身。日本の大食い番組で活躍し、注目を集める。2001年から米国に進出。米国で最も有名な日本人の一人と言われ、米メディアからは「早食い競争のゴッドファーザー」と称される。好きな食べ物はレバ刺し、ヨーグルト、豆腐。
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