1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

学校の冷暖房 安全に過ごせる環境の整備を

読売新聞 / 2024年11月5日 5時0分

 地域の学校は児童生徒の学びの場であるだけでなく、防災拠点としての役割も担っている。子供たちに加え、被災者も安全に過ごせるように、環境を着実に整える必要がある。

 気候変動の影響で近年、夏の猛暑が当たり前となっている。寒冷地でも夏の気温が上昇し、子供たちを熱中症から守るため、学校に冷房設備が必要になっている。

 かつて公立小中学校の普通教室には、ストーブやヒーターなどの暖房設備しかない地域が多かった。しかし、2018年7月、愛知県の小学1年生が校外学習から帰校後、熱中症で死亡した事故を機に、冷房の整備が進んだ。

 今年9月1日時点の冷房設置率は、普通教室で99・1%に達している。最近では、冷暖房一体型の設備の導入も広がっている。

 一方、学校行事や部活動などで利用する体育館は、冷房の設置率が18・9%にとどまる。

 空調の整備は学校を設置する自治体などが担うが、体育館は床面積が広く熱効率が悪い。断熱対策も必要で多額の費用がかかる。

 少子化に伴う学校の統廃合を検討しているなど、工事をしづらい事情を抱えているところもある。多くの自治体が体育館よりも、子供たちが日常的に過ごす普通教室の整備を優先してきたことは、自然な流れであろう。

 ただ、公立小中学校の体育館は、多くが災害時の避難所に指定されている。大地震の際などに、被災者が身を寄せる場となることへの配慮も欠かせない。

 東京都八王子市は来年度を目標に、公立小中学校体育館の冷暖房整備を目指している。一部の学校には、災害時に停電しても使える設備を導入するという。

 財政事情や気象条件は、地域によって異なっている。体育館の空調の整備を全国一律に進めることは、現実的とは言えまい。移動式で比較的安価な空調設備もある。必要な時に調達できるようにしておくことが重要だ。

 学校設置者は冷暖房の必要性や、導入する場合の課題などを十分に検討してもらいたい。その際、防災部門と教育委員会が緊密に連携することが大切だ。

 今年8月に南海トラフ地震臨時情報が発表された際、学校の体育館に避難所を開設したものの、冷房設備がなかったため、熱中症のリスクがあるとして閉鎖を余儀なくされたケースがあった。

 いざという時、同様の事態を招かないよう、国も財政支援などに努めるべきだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください