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闇バイト強盗、実行役は「使い捨て」…報酬得たものほとんどおらず

読売新聞 / 2024年11月5日 6時55分

 首都圏などで相次ぐ「闇バイト」による強盗事件では、実行役らの大半が「X(旧ツイッター)」などSNSでの募集に応じて、事件に加担している。民間の調査では、高校生の5割近くはSNSで仕事を探したことがあるという。逮捕された若者らの多くは報酬を得ていないが、その代償は大きい。警察は「怪しい求人には絶対応募してはいけない」と呼びかけている。(尾藤泰平、横浜支局 中山知香)

警察「脅されても通報を」

「Xで探し、応募」

 「短期間で稼げるアルバイトをXで探し、『ホワイト案件』の投稿を見つけて応募した」。横浜市青葉区の強盗殺人事件で逮捕された宝田真月まづき容疑者(22)は神奈川県警に対し、闇バイトと知らずに初めて応募したと説明。「個人情報を教え、断れなかった」と語った。

 一連の事件は8月以降、6都道県で計23件に達した。このうち19の事件で逮捕された実行役や現金回収役らは約50人に上り、約8割は10~20歳代だった。

 捜査関係者によると、実行役らは大半が「X」や「インスタグラム」などのSNSに掲載された求人情報を見て応募していた。

 指示役側は合法な仕事を装い、「荷物を運ぶ仕事」「書類運搬」「送迎」などと投稿。違法な仕事と警戒されないよう、「ホワイトバイト」「闇バイト×」「リスクはない」と強調する書き込みもあった。

無報酬 重い刑

 「闇バイト」はSNSの普及とともに2010年代後半に広まったとされる。

 特殊詐欺の被害金を回収する「受け子」や引き出し役の「出し子」から、他人名義のスマートフォンや銀行口座の売買、違法薬物が入った荷物を転送する「荷受け代行」など多様化した。

 凶悪化したのは、22~23年に相次いだ指示役「ルフィ」らによる強盗事件からだ。東京都狛江市の住宅で高齢女性が暴行されて死亡し、今回の一連の事件でも、強盗殺人や現金引き出し目的の連れ去り事件が起きている。

 それぞれの法定刑は詐欺罪が10年以下の懲役、強盗罪は懲役5年以上、強盗殺人罪は死刑か無期懲役で有期刑はなく、極めて重い。

 一連の事件では、「報酬を得た」と供述している容疑者はほとんどいない。警視庁幹部は「闇バイトに手を染めれば“使い捨て”にされる。おかしいと気づいたら、脅されたとしても警察に通報を」と訴える。

曖昧な内容

 就職情報会社「マイナビ」が今年2月、アルバイトをしている高校生約650人に行ったアンケート調査では、SNSでバイトを探した経験が「ある」との回答が46%だった。41%の生徒は、怪しい求人を見かけた経験が「ある」とし、実際に「怪しい求人の勧誘を受けた」との回答も約1割あった。一方、SNSだけで交渉すると、違法行為に巻き込まれる危険があることを知っていた生徒は、半数にとどまった。

 同社によると、闇バイトの求人はSNSやマッチングアプリで多く見られ、「オフィスワーク系」「軽作業系」などと掲載されるケースが多い。業務は「電話をかけるだけ」「運ぶだけ」などと曖昧にし、高額報酬を提示するのが特徴だ。

 同社の担当者は「SNSのみのやり取りで、採用担当者に会えない場合や、応募時に免許証などの提出を求められるケースは特に注意が必要だ」としている。

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