時速194キロで走行、危険運転致死に問われた元少年は初公判で「そのようなこと分かりません」
読売新聞 / 2024年11月5日 13時7分
大分市で2021年、法定速度の60キロを大幅に上回る時速194キロで乗用車を走行して事故を起こし、男性を死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた元少年(23)の裁判員裁判の初公判が5日午前、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で始まった。元少年は罪状認否で「そのようなことは分かりません」と述べた。
起訴状では、元少年は21年2月9日深夜、大分市の県道交差点で、制御困難な時速194キロで走行。右折中だった同市の会社員小柳憲さん(当時50歳)の車の通行を妨害する目的で交差点に進入して事故を起こし、小柳さんを死亡させたとしている。
公判では、元少年の運転が、危険運転の適用要件である〈1〉制御が困難な高速度〈2〉妨害する目的で通行中の車に接近――に該当するかどうかが主な争点となる。
弁護側はこの日、危険運転致死について否認し、検察側が予備的な訴因として加えている同法の過失運転致死については争わない姿勢を示した。
検察側は冒頭陳述で、小柳さんは事故で締めていたシートベルトがちぎれて路上に飛び出し、骨盤を骨折するなどして死亡したと主張。〈1〉については、路面の状況から車体に揺れが生じ、ハンドルやブレーキの操作を誤る恐れや、夜間に194キロで運転することで視野や視力に大きな影響を与え、操作を誤る恐れがあったなどとした。また、右折車が来ることが想定されたとして、〈2〉の要件も満たすと主張。「常軌を逸した高速度で、動機は極めて身勝手」と指摘した。
事故を巡っては、大分地検は22年7月、法定刑の上限が懲役7年の過失運転致死で在宅起訴。遺族らは法定刑の上限が懲役20年の危険運転致死への訴因変更を求めて約2万8000筆の署名を地検に提出。地検は補充捜査の上、変更を地裁に請求し、認められた。
元少年は事件当時19歳の「特定少年」で、大分地検は訴因変更時に実名を公表していたが、匿名で審理された。関係者によると、弁護側が氏名の非公開を求めていた。地裁は取材に対し、秘匿理由について「裁判体の判断」としている。
危険運転致死傷、法務省で見直し議論
危険運転致死傷を巡っては、大幅な速度超過などの悪質な運転でも適用されないケースが相次いでいることを受け、法務省で適用の要件を見直すための議論が進められている。
同省の有識者検討会は今年2月から、適用要件となる「制御困難な高速度」について、条文に「法定速度の○倍以上」といった文言を新たに入れるかどうかなどを検討している。危険運転致死傷(法定刑の上限は懲役20年)と過失運転致死傷(同7年)の中間にあたる刑の新設や、法定刑の引き上げなどについても議論されているという。
10月までに、交通事故分析の専門家らに対するヒアリングなどが終了し、11月からとりまとめを行う。検討会で法改正が必要と結論付けられれば、法制審議会に諮問される見通し。
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