トヨタ9月中間決算、日中で販売不振もハイブリッド車の伸びに期待
読売新聞 / 2024年11月5日 18時45分
トヨタ自動車は6日午後、2024年9月中間期の連結決算を発表する。業績の基礎となる生産や販売台数は日本や中国での減少が響いてマイナスとなるが、利益率の高いハイブリッド車(HV)の販売増といった好材料もある。
今年5月の段階では、25年3月期の売上高が前期比2%増の46兆円、本業のもうけを示す営業利益は19.7%減の4兆3000億円と増収減益になる見通しを示しており、トヨタの業績は「中長期の成長を描くための踊り場」(佐藤恒治社長)にある。
間近に迫ったトヨタ決算の注目ポイントを、〈1〉販売の減少、〈2〉好調なHV、〈3〉認証不正を受けた経営や現場改革の進み具合――の三つの観点からまとめた。
日中で販売減少
トヨタが10月下旬に公表した24年度上半期(4~9月)の販売実績によると、トヨタ、レクサス両ブランドの販売は約502万台で、過去最高だった昨年度の上半期(約517万台)から2.8%減った。
国内販売は9.3%減の約71万台。量産に必要な認証「型式指定」を巡る不正が6月に発覚し、「ヤリスクロス」など3車種の生産を約3か月間停止したことが響いた。4月には人気車種「プリウス」のリコール問題も起きた。
海外販売は1.6%減の約431万台と、わずかに減少した。HVが好調な北米や欧州でプラスとなった一方で、電気自動車(EV)へのシフトが進む中国は14.7%の大幅減となった。
トヨタは5月時点で25年3月期の販売目標を1040万台と掲げ、半年間の
HV好調
一方、業績にプラスの要因となりそうなのが、HVの伸びだ。今のトヨタは、HVを売れば売るほど利益が出やすい構造になっているからだ。
トヨタは1997年の初代「プリウス」の発売以降、多くの車種にHVモデルを設定してきた。22年に発売した最新の第5世代プリウスの場合、HVのハイブリッドシステムの原価は初代と比べ、6分の1に下がった。HVはガソリンエンジン車よりも単価が高いため、北米のスポーツ用多目的車(SUV)を例にとると、1台の利幅はHVがガソリン車より1割ほど高いという。
4~9月のHVの世界販売は、前年同期比21.1%増の約203万台と大幅な伸びを記録した。全体の販売台数に占めるHVの割合は、前年同期の32.4%から40.4%に上がっている。HVは今や収益を力強く支える存在だ。HVなどの電動車の販売増加が、トヨタの業績をどこまで押し上げるのかが焦点となる。
一方、4~9月はEVの世界販売も32.5%増の約8万台だった。全体に占める割合は小さいものの、中国や北米で販売を増やしている。
経営改革は
三つ目のポイントが「足場固め」や「余力づくり」と称して進めている経営や現場改革の進み具合だ。
佐藤恒治社長は5月の記者会見で、今年度は「グループの不正やトヨタの余力不足の課題に向き合い、足場を固めることが最重点事項だ」と述べ、25年3月期の営業利益が前期比2割減となる見通しを示した。ただ、6月にトヨタ本体でも不正が発覚した。
25年3月期は取引先の労務費、原材料費といった取引先のコスト上昇分の負担や、従業員の働く環境改善を進めるとして、「人への投資」が営業利益を3800億円押し下げる見通しを示している。
さらには、競争が激化しているEV向けの電池工場や、人工知能(AI)の研究開発といった成長分野への投資を増やすことも、減益の要因となる。
佐藤社長が今年5月の会見で使った「踊り場」という言葉は、約10年前の14年3月期決算で豊田章男社長(現会長)が語った「意志ある踊り場」との表現になぞらえたものだ。当時、東日本大震災やタイの洪水などによる影響を乗り越えたトヨタの業績は上向いていたが、豊田氏は一時的に利益を削ってでも、成長を実現するための投資に経営資源を振り向けることが大切だと訴えた。
佐藤氏も今年5月、「少しペースダウンしてでも、未来への投資を行いたい」と語っている。先行的な投資が利益をどの程度圧迫するのか、注目される。
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