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「坂バカの聖地」自転車で上り切れるか、成功率は10%…教会が制覇認定証を発行 

読売新聞 / 2024年11月6日 10時1分

教会への激坂を上る長谷川さん(手前)。坂の途中からは相模湾も見渡せる(葉山町で)

 神奈川県葉山町堀内の葉山教会に続く急激な上り坂は、坂を好む自転車乗りの間で「坂バカの聖地」として知られる。足をつかずに上り切った人には、教会が10年ほど前から「激坂制覇認定証」を発行しており、週末などに挑戦するサイクリストも多い。ただ、成功率は10%程度と難関だそうだ。(菊池裕之)

牧師が手作り

 「これは結構きつそうだ」

 10月下旬の土曜、大磯町からやって来たサイクリスト2人が、教会への坂を見上げてつぶやいた。

 ロードバイクに乗り始めた10年前以来の挑戦という長谷川雅啓さん(47)は力強くペダルを踏み出すと途中で失速することなく、見事に教会まで上り切った。「ペダルへの力のかけ方などが上達したんだと思う。自分の成長を感じました」と“リベンジ”を喜び、笑顔で認定証を受け取った。

 初挑戦の山田直行さん(56)は、残念ながら途中で足つきとなった。

 A5判の認定証は牧師の中村健一さん(66)の手作りで、「今後のサイクルライフの上に神の豊かな祝福を祈りつつ、その前代未聞の偉業をたたえる」と記載。越前和紙に印刷された文面に日付を書き入れ、ハトのスタンプを押して手渡している。

 きっかけは10年ほど前のテレビ取材だ。自転車情報番組の企画で登坂に挑んだ出演俳優から「何か記念の賞状を発行してくれませんか」と持ちかけられ、認定証を出すことに。その様子が放映されると、一般のサイクリストが多く訪れるようになり、「坂バカの聖地」として広まった。

最大勾配29%

 埼玉や東京・多摩エリアなど県外からの挑戦者も多く、福島から「輪行」で来た人もいたという。足をつかずに上れたかどうかは自己申告だが、「ウソをつく人はいないし、早朝に訪ねてくる人もいない。サイクリストは謙虚で正直な人ばかりです」と中村さん。

 これまで発行したのは約500枚。10人挑戦して上り切るのは1~2人で、成功率は10%程度という。

 では、坂はどれほどの勾配なのか。ネットなどでは、全長235メートル、平均勾配16%、最大勾配29%と紹介されている。一般的には8~10%できつい坂、15%なら「激坂」とされ、中村さんが「県内一の激坂」というのもうなずける。序盤から急坂だが、中盤でさらに勾配がきつくなり、終盤にやや緩むものの、ラストの数十メートルには再び激坂が待ち受ける。

ビル10階相当

 教会はハイキングコースもある仙元山(標高118メートル)の中腹にあり、標高は約50メートルという。スタート地点は海抜9・6メートルなので、10階建てのオフィスビルに相当する約40メートル分を上ることになる。

 中村さん自身も20年来の自転車愛好家で、ロードバイクで三浦半島を1周するなどしているという。自転車乗りの端くれとしてサイクリストを応援し、自転車の楽しさを多くの人に知ってもらいたい思いから、認定証の発行を続けてきた。

 日曜午前は礼拝があり、車も往来するため、登坂は避けてほしいという。

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