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トランプ氏勝利に期待するプーチン・ネタニヤフ氏、ハリス氏を望むゼレンスキー氏…各国指導者の思惑は

読売新聞 / 2024年11月6日 7時0分

 5日に投票が始まったアメリカ大統領選挙の結果は、世界情勢に大きく影響する。各国指導者の思惑をまとめた。

■停戦案

 ロシアのプーチン大統領は、共和党のトランプ前大統領の勝利に期待しているとみられる。侵略するウクライナに対する軍事支援に否定的で、当選すれば来年1月の就任までに和平を実現すると主張しているからだ。ロシアがすでに占領したウクライナ領の割譲を条件に、停戦に持ち込む案が取りざたされている。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はウクライナ支援を主導してきたバイデン政権の路線を踏襲する構えの民主党候補ハリス副大統領の当選を望んでいるのは間違いない。10月31日、「(次期米大統領によって)もし支援が弱まれば、ロシアは更に領土を奪い、我々がこの戦争に勝つことはできなくなるだろう」とSNSに投稿した。

 トランプ氏が当選した場合、米国から妥協を迫られかねない。ゼレンスキー氏は「我々の立場は領土を巡る妥協ではなく、米国の関与が維持されることに依拠した外交的手段の可能性を探るものだ」として、外交的解決を目指す上でも米国の後ろ盾が不可欠だとの考えを示した。

■「公然の秘密」

 パレスチナ自治区ガザやレバノンで戦闘を続けるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らがトランプ氏の当選を望んでいるのは「公然の秘密」だ。

 トランプ氏は前回の任期で国際的に認められていないエルサレムを首都と認定して大使館を移すなど極端な親イスラエル政策を取ったのに対し、ハリス氏は選挙期間中、イスラエルへの武器供与停止をにおわせたためだ。

 イスラエルの民放「チャンネル13」は9月、ネタニヤフ氏が非公開の場で「トランプ氏は我々が直面している難問を理解してくれるが、もう一方は問題となるだろう」と語ったと報じた。首相府は否定したが、本音とみられている。パレスチナ自治政府高官は取材に対し、「トランプ氏が当選したら悪夢の再来になる」と懸念を口にした。

■構える中国

 中国の習近平シージンピン政権の内情に詳しい関係者によると中国政府は、予測不能なトランプ氏の返り咲きに備え、対応を協議している。

 トランプ氏が公言する対中関税の引き上げが60%に達すれば中国経済にとって大打撃だ。中国産品を輸入する米企業からの反発も見越し、それを利用して通商協議に持ち込みたい考えだ。

 安全保障面では、バイデン政権下で進められた同盟国との協力関係や対中包囲網が揺らぐとみている。トランプ氏は日本や韓国に対して駐留米軍の費用負担の増額を求める可能性がある。そうなれば日韓の切り崩しを図ることも予想される。

 北朝鮮は、米大統領選で「誰が政権を握っても、米国という国家そのものを相手にする。国家の自衛権について誰とも交渉しない」(金星キムソン国連大使)と主張しており、結果にかかわらず核・ミサイル開発を進める構えを強調した。

金正恩 キムジョンウン 朝鮮労働党総書記は2018年に史上初の米朝首脳会談を行ったトランプ氏との再交渉に期待しているとの見方がある。朝鮮中央通信は7月、「首脳間の個人的な親交関係」があったと言及していた。

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