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博報堂が電気・ガス補助金を高額で業務委託、資源エネルギー庁が不十分な審査で承認…費用増大か

読売新聞 / 2024年11月6日 17時10分

会計検査院

 電気・ガス料金の負担を軽減する補助金事業を巡り、広告大手「博報堂」(東京)が高額の業務委託を繰り返していたにもかかわらず、資源エネルギー庁が必要な審査をせずに承認していたことが会計検査院の調べでわかった。総額約370億円で事務作業を担った博報堂は、相見積もりも取らずに下請けや孫請けに発注しており、費用が不当に膨らんだ可能性がある。

 問題の事業は、電気・ガス料金の抑制(事務費319億円)と、節電量に応じたポイント付与(同49億円)を目的とした二つの補助金。

 検査院によると、事務局を担った博報堂は審査やコールセンターなどの業務について、子会社「博報堂プロダクツ」(東京)などに料金抑制は227億円(委託率71%)で、節電ポイントは41億円(同83%)で委託。さらに、プロダクツ社は審査業務の一部などについて、複数の会社に料金抑制は186億円(同81%)、節電ポイントは34億円(同84%)で再委託していた。

 経済産業省は委託率が5割を超える場合、委託した理由を書類で説明するよう内規で定めているが、博報堂の提出書類には理由が具体的に記載されていなかった。また、委託先の選定で相見積もりを取っていなかったという。

 同庁では承認した経緯を示す資料を残しておらず、検査院は「同庁が、委託や再委託によって経済性を欠くような事態が生じないか、十分に検証していたことを確認できない」と指摘した。

 同庁の担当者は、「無駄や過大な支出とは認識していない。記録を残していない点には不備があった」としている。博報堂は「詳細は答えられない」とコメントした。

 国の事業では、コロナ禍の中小企業向け「持続化給付金」でも委託や再委託が繰り返され、検査院は21年、中小企業庁が必要性を検討した記録を残していなかったと指摘していた。

 法政大の小黒一正教授(公共経済学)の話「今回のように高い委託率では『中抜き』も疑われ、税金の使い方としてあるべき姿ではなく、国は説明する義務がある。委託率が一定程度を超えた場合は情報を公開するなど、全省庁で統一したルールを定めるべきだ」

 検査院が6日に公表した2023年度の決算検査報告書で指摘された国による税金の無駄遣いや不適切会計は、前年度比12%増の648億円(345件)。うち法令違反などにあたる「不当事項」は77億円(294件)だった。

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