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今村洋史・元衆院議員の病院、新型コロナ診療体制の補助金1・6億円を不当申請…「考え甘かった」

読売新聞 / 2024年11月6日 20時30分

記者会見で説明する今村洋史・元衆院議員(6日午前10時59分、東京都新宿区で)=横山就平撮影

 会計検査院は6日、新型コロナウイルスの診療体制を整備する国の交付金や補助金を巡り、不当な申請に基づく支出が21億9000万円に上ったことを明らかにした。一部の医療機関は虚偽の納品書を提出したり、患者数を水増し請求していたりした。検査院は、こうした医療機関を「補助金事業への認識が著しく欠けている」と批判し、国や自治体についても「審査が不十分だった」と指摘した。(駒崎雄大、後藤陵平)

 コロナ禍では、厚生労働省や都道府県が患者を受け入れる医療機関側の申請に基づき、交付金や補助金を出して設備導入などを支援した。

 検査院や関係者によると、今村洋史・元衆院議員(62)が院長を務める「いまむら病院」(愛知県一宮市)は2020~22年度、病室外にウイルスが漏れないようにする「簡易陰圧装置」を整備し、病院内の消毒を業者に委託したなどとして、国の交付金を原資とする同県の補助金を受け取った。

 だが、実際には同装置は納入されておらず、検査院は「虚偽の納品書を県に提出していた」と認定。消毒についても「業者への支払額を水増ししていた」とした。検査院は国の交付金1億6000万円を不当な支出だったと結論付けた。

 今村氏は12年衆院選で日本維新の会から出馬して当選し、1期務めた。6日、東京都内で記者会見した今村氏は「虚偽の納品書は業者が意図的に作成し、納入されていない機器もあった」と釈明。その上で「チェック体制に不備があった。公金に対する考え方が甘く、申し訳ない」と述べ、返還する意向を明かした。

 「中野訪問クリニック」(東京都中野区)は20年度、「診療室を14室設け、164日間、毎日7時間営業していた」とする実績報告書を厚労省に提出した。この体制であれば4万5000人の患者に対応できることになり、6億1000万円の補助金を得た。ところが検査院がカルテや診療報酬明細などをもとに調べたところ、実際の対応能力は5000人程度で、同クリニックが患者数を水増し請求していたと認定した。

 診療所は同区内のマンションの一室(62平方メートル)で、同クリニックは「パーティションを使って部屋を分け、トイレも診療室にした」と検査院に説明したが、診療室の図面など証拠資料を残していなかった上、医師は2人のみで訪問診療で外出していた時間も多かったことが判明。検査院は、補助金のうち5億6000万円の支出は不当だったと指摘した。同クリニックは全額を返還したという。

 同クリニックは「取材はお断りする」としている。

 厚労省の担当者は「指摘は真摯しんしに受け止める」とした上で、「当時は速やかな支援の必要があり、コロナ対応にあたる医療機関の負担軽減のため、申請書類も簡素化していた」と釈明。愛知県の担当者は「重く受け止めている」と述べた。

 検査院はこれら診療体制の整備を対象とした補助金に加え、コールセンター業務での人件費水増しや、子育て世帯向けの交付金の支給ミスなどを含め、コロナ対策全体で50億7000万円の支出に問題があったとした。

 このほか検査院は、各自治体に支出された国の地方創生臨時交付金(コロナ交付金)について、国庫への返還が必要な交付金が計205億円に上ると指摘した。うち8割が未返還で、自治体から水増し受給などの不正が認定された検査事業が大半を占めるという。

 ◇

 検査院が6日に公表した23年度の決算検査報告書で指摘された国による税金の無駄遣いや不適切会計は、前年度比12%増の648億円(345件)。うち法令違反などにあたる「不当事項」は77億円(294件)だった。

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