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被団協「核なき世界が遠のくかも」、拉致被害者家族「強い米国になって」…トランプ氏に不安と期待

読売新聞 / 2024年11月7日 0時1分

被団協代表委員の箕牧智之さん=東直哉撮影

 米国第一主義を掲げるトランプ氏の返り咲きが確実となり、日本の被爆者団体、環境団体、北朝鮮による拉致被害者家族からは、懸念や期待の声が上がった。

 「大統領在任中に核実験を行うなど、常に核兵器への懸念が消えなかった。『核なき世界』の実現が遠のいてしまうかもしれない」。ノーベル平和賞に選ばれた被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」代表委員の箕牧みまき智之さん(82)(広島県)はトランプ氏を不安視する。

 今回選でトランプ氏は、イスラエルによるイランの核施設攻撃を容認する考えを示した。箕牧さんは「被爆者の思いをむげにしないためにも、唯一の被爆国である日本の役割はさらに大きくなると思う」と話した。

 米国はトランプ政権下の2020年に温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱。バイデン政権下で復帰したが、トランプ氏は今回選でもパリ協定からの再離脱を主張した。NPO法人「気候ネットワーク」の浅岡美恵代表は「国際的な枠組みを嫌い、途上国への資金援助をやめるかもしれず、国際社会も混乱しそうだ」と懸念を示した。

 一方、拉致被害者家族らはトランプ氏の手腕に期待を寄せる。トランプ氏は18~19年、北朝鮮の金正恩キムジョンウン朝鮮労働党総書記との直接会談に臨み、日本人拉致問題に言及して解決を迫った経緯がある。

 有本恵子さん(拉致当時23歳)の姉、尚子さん(66)によると、トランプ氏は17年、東京都内で父・明弘さん(96)ら拉致被害者家族と面会した後、「あなたのために全力を尽くす」と記した手紙をくれたという。尚子さんは「すごく優しい人柄を感じた。問題を解決するためにも、強い米国になってほしい」と語った。

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