習近平氏やプーチン氏との直接取引好むトランプ氏、懸念されるウクライナへの対応…終戦「24時間以内に実現」主張
読売新聞 / 2024年11月7日 6時45分
【ワシントン=向井ゆう子】共和党のトランプ前大統領は首脳外交を重視し、中国やロシア、北朝鮮といった専制主義国家の指導者との「ディール(取引)」に強い意欲を示している。「米国第一」を掲げるトランプ氏に、再び世界が振り回されそうだ。
トランプ氏は、損得勘定の取引を重視する。同盟国やパートナーとの友好関係を無視し、中国の
民主党のバイデン大統領は、トランプ前政権(2017~21年)で傷ついた同盟国との関係の立て直しに注力した。「民主主義国対専制主義国」という構図で、自由と民主主義の価値観を共有する国との関係を強化し、既存の国際秩序を壊す動きに対抗しようとした。トランプ氏はこの流れを逆行させる可能性がある。特に懸念されるのが、ロシアのウクライナ侵略への対応だ。トランプ氏はウクライナへの支援に消極的で、終戦の仲介を唱えてきた。当選すればプーチン氏との首脳外交によって、終戦を「24時間以内に実現する」と根拠なく主張している。ロシアに有利な決着となれば、欧州を中心に米国に対する信頼は大きく揺らぐ。
トランプ氏の主張の根底には、同盟国が米国の安全保障に「ただ乗り」しているという発想がある。トランプ氏は前政権時代、北大西洋条約機構(NATO)をやり玉に挙げ、欧州各国に防衛費増額を求めたほか、NATO脱退も試みた。
一方、中国には強硬策をとる見通しだ。共和党の綱領は、中国への「最恵国待遇」を取り消す方針を示すなど厳しい政策が並ぶ。トランプ氏自身は、中国製品に対する60%超の関税導入に言及している。
トランプ氏は、中国が統一を狙う台湾には思い入れがないとみられる。中国が武力統一を試みた場合の米国の関与についても明言していない。首脳外交を好むトランプ氏が、貿易交渉をテコに習氏に利用されるとの見方が出ている。
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