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イーロン・マスク氏、トランプ新政権で要職起用の見通し…偽情報生成に悪用されるAIの規制停滞に懸念

読売新聞 / 2024年11月7日 21時48分

米ペンシルベニア州バトラーで、トランプ氏(左)と並んで演説するマスク氏(10月5日)=ロイター

 米大統領選でトランプ前大統領が勝利したのを受け、選挙戦でトランプ氏を強力に支援した米実業家のイーロン・マスク氏(53)の影響力が一段と強まりそうだ。マスク氏は新政権で要職に起用される見通しだが、自身が経営する企業との利益相反や、偽情報の生成などに悪用されるAI(人工知能)に対する規制の停滞が懸念される。(ニューヨーク支局 小林泰裕)

 「再び米国に夜明けが来た」。マスク氏は6日、自身がオーナーを務めるX(旧ツイッター)への投稿でトランプ氏に祝意を示した。

 マスク氏のXのフォロワー数は約2億人で世界最多だ。保有資産も世界トップの約2900億ドル(約45兆円)に上る。選挙期間中、Xでトランプ氏や共和党を支持し、民主党を批判する投稿を繰り返した一方、トランプ陣営に多額の献金を行って再選を後押しした。マスク氏の献金額は少なくとも1億1900万ドル(約180億円)に上るとされる。

 元々マスク氏は民主党支持者だったが、バイデン政権の労働組合重視の姿勢や寛容だった移民政策などに反発し、7月の銃撃事件直後にトランプ氏支持を表明した。今月5日夜にはフロリダ州の別荘でトランプ氏と一緒に大統領選の開票を見守るなど両者の急接近ぶりは際立つ。

 マスク氏の経営手腕を評価するトランプ氏は、行政改革関連の要職にマスク氏を起用する方針だ。マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める電気自動車(EV)メーカーのテスラは時価総額が世界最大の自動車会社で、宇宙開発で世界をリードするスペースXのCEOでもあるマスク氏の影響力は、政権入りにより増大しそうだ。

 マスク氏が自身の企業にとって好都合になるように、規制や制度に手を加える懸念も浮上している。米メディアは、マスク氏が注力する自動運転技術に関して規制を骨抜きにしたり、ロケット開発に必要な政府の承認を簡素化したりする可能性を指摘する。

 かつてEVを声高に批判していたトランプ氏も、マスク氏への配慮からトーンダウンさせている。トランプ氏がマスク氏の独断専行を許せば、EVやロケットの安全性低下につながりかねない。

 トランプ氏はバイデン政権が昨年発表したAIの安全性に関する大統領令を廃止する方針だ。マスク氏はAI開発会社「xAI」を設立しており、強い規制を望まない姿勢を示す。選挙での偽画像の拡散や犯罪などに悪用されることがあるAIの規制にブレーキがかかる恐れがある。

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