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国民民主党 与党の補完で実だけ取るのか

読売新聞 / 2024年11月8日 5時0分

 国会は、衆院選で大敗した石破首相を一部の野党が支えて延命させるという奇妙な構図となりそうだ。

 また、この結果、与党が、財源の裏付けのない野党の政策要求を次々にのむといった事態も想定される。

 立憲民主党の野田代表と国民民主党の玉木代表が会談した。野田氏は、11日に召集される特別国会での首相指名選挙について、野田氏と石破首相との決選投票となった場合、自らに投じるよう求めたが、玉木氏は応じなかった。

 国民民主は、決選投票を含めて玉木氏の名を書く方針だ。この票は、上位2人が争う決選投票では無効となるため、野田氏の票は石破氏の票に届かず、石破氏が再び首相に選ばれる公算が大きい。

 国民民主は、年収が103万円を超えると所得税がかかる「年収の壁」の引き上げなど公約の実現を目指し、近く与党と案件ごとの政策協議を始める予定だ。

 「政策本位」で臨む国民民主の姿勢は理解できるが、本来なら、首相に退陣を求め、後継の自民党総裁の下で、共同で財源にも責任を持つ連立を組むのが筋だ。

 そうしないのは、信を失った首相の延命に手を貸した方が有利だと考えているからのようだ。

 「年収の壁」の見直しに関し、野田氏は玉木氏に協力する考えを伝えた。国民民主は、少数与党の命運を握るキャスチングボートを手にしたつもりのようだが、立民が与党と政策協議を行った場合、国民民主の存在感は薄れよう。

 野田氏はまた、日本維新の会の馬場代表との会談でも、首相指名選挙での協力を要請したが、馬場氏は即答を避けた。維新も決選投票は馬場氏の名を書く方向だ。

 決選投票となる以上、維新も国民民主も、石破、野田両氏に投票しないなら、白票を投じるか投票を棄権すべきだ。

 野党の足並みがそろわないのは、立民にも責任がある。

 野田氏は衆院選で、かねて立民が主張してきた「原子力発電ゼロ」に固執しなかったが、党綱領には「原発ゼロ」が残っている。

 立民が野党を結集させたいのなら、党の基本政策を現実的な内容に改めることが先ではないか。

 特別国会の会期はわずか4日間となる見通しだ。予算委員会は次の国会で開催するという。

 首相は先の臨時国会で、予算委員会を開くという総裁選中の発言を翻し、早期の解散に踏み切った。いつになったら内外の課題に向き合い、論戦を始めるのか。

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