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ネットの偽情報 巨大ITに有効な防止策探れ

読売新聞 / 2024年11月8日 5時0分

 総務省の有識者会議がインターネット上に氾濫する偽情報の防止策について、本格的に検討を始めた。巨大IT企業に対策を徹底させる有効な制度を作ってほしい。

 個人などへの誹謗ひぼう・中傷については、情報流通プラットフォーム対処法が来年5月までに施行される。不適切な投稿を迅速に削除するため、被害者の申し出を受け付ける窓口の設置など体制の整備を事業者に義務づける。

 政府は対象となる企業を利用者数などを基準に決める方針だ。

 誹謗・中傷対策は一歩進んでいるが、この法律では対象とならない偽情報も残っている。この課題に対処するため、総務省は10月に有識者会議を発足させた。

 生成AI(人工知能)の普及に伴い、精巧な偽動画が誰でも簡単に作れる時代になった。世界的に有権者を惑わせるような、ウソの情報が横行し、民主主義を揺るがしかねないと危惧されている。

 表現の自由を尊重する大前提の下で、SNSの運営企業などに、違法な投稿の迅速な削除を促すための制度を作ることが急務だ。

 海外の先行事例を参考に、日本に適したあり方を探りたい。

 欧州連合(EU)は2022年、企業に偽情報の拡散防止を義務づけたデジタルサービス法(DSA)を施行した。X(旧ツイッター)への調査を行い、対策の実行状況などを重点的に調べている。

 DSAに違反した場合は、最大で世界の年間売上高の6%にあたる制裁金を科されるため、実効性が高い規制だとされている。

 英国もDSAと同様の法律を成立させた。偽情報を防ぐ法整備は欧州で着実に進んでいる。

 一方、日本は、偽情報を防ぐ対策を企業の自主的な取り組みに任せている。事業者に対し、表現の自由を侵さずに偽情報対策を法的に義務づけることが可能かどうか議論を深めてもらいたい。

 過激な見出しなどで関心を引きつけて、広告収入の最大化を図る「アテンション・エコノミー」を防ぐことも重要だ。

 SNSなどの運営企業は、利用者の閲覧数が増えるほど、広告収入が増える仕組みになっていて、投稿者には、その収入の一部が分配されている。

 この配分は、閲覧数が多い投稿ほど、その分配額が増える仕組みのため、閲覧数目当ての偽情報が横行する要因になっている。

 こうした状況を改善するために偽情報の投稿者が収益を得られない措置も求められよう。

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