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岐路のPTA 時代に合った効率的な運営に

読売新聞 / 2024年11月9日 5時0分

 共働きやひとり親世帯の増加で、学校のPTA活動が見直しを迫られている。簡素化や効率化を進め、時代に合った組織に改めていきたい。

 PTAは、児童生徒の保護者と教職員で作る任意団体だ。戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が教育の民主化のために設置を促し、全国に広がった。

 加入義務はないが、保護者全員が参加し、会費を払って運営されてきた。主に自営業や専業主婦の保護者らが役員となり、学校行事の手伝いやバザーの開催、地域の清掃などを担っていた。

 だが近年は、仕事を持つ保護者が増え、役員を選ぶ時期になると押し付け合いになったり、やむなくくじ引きで決めたりするケースが後を絶たない。加入は義務でないことが広く知られ、PTAに入らない人も増えている。

 組織や業務を見直さなければ、一層の先細りは避けられない。

 教員と連携し、情報を共有しながら子供の成長を支えるPTAの機能は今後も大切だろう。一方、本来なら学校や自治体が行うような教室のカーテンの洗濯などをしているPTAもあるという。

 引き続き必要な活動と、縮小や廃止が可能な活動を切り分け、スリム化を図るべきだ。頻繁に開かれる会議への抵抗感は強い。働いている人が出席しづらい平日の放課後に開催されることもある。

 会議をオンラインに切り替えたり、事務連絡を一斉メールで済ませたりするなど、負担の軽減に努めることが重要だ。

 兵庫県川西市の一部の小中学校では、PTAを解散し、会費を徴収せず、活動ごとに参加者を募るボランティア組織に衣替えした。広報誌の作成などを民間企業に外注する試みも広がっている。

 こうした事例も参考に、地域の実情に合ったPTAの姿を模索してほしい。強制されて仕方なく活動するのではなく、子供たちに何が必要なのかを考え、主体的に参加できるような形が望ましい。

 PTAの全国組織「日本PTA全国協議会」では、東京都の小学校組織や千葉市、さいたま市の組織が相次いで退会した。岡山県組織は年度末で解散するという。

 協議会では、ビル修繕費を巡る不明朗な会計が発覚し、元参与が逮捕される不祥事が起きた。

 下部組織の相次ぐ脱退には、PTA活動の退潮で協議会に会費を納めるのが難しくなっていることに加え、運営への不信感がある。会計の透明性を高めないと、退会の動きは一層加速するだろう。

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