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相次ぐ住宅強盗、「防犯関連商品」売り上げ急増…補助錠・人の動き感知するチャイムなど

読売新聞 / 2024年11月9日 12時58分

 首都圏を中心に相次ぐ戸建て住宅を狙った強盗事件を受け、家庭向けの防犯対策への関心が高まっている。ホームセンターでは、侵入対策の防犯関連商品の販売が全国で急増。警備会社には、離れて暮らす家族の見守りに関する問い合わせも寄せられている。

(後藤陵平、小松大樹)

近所で事件「人ごとでない」

 東京都江東区のホームセンター「コーナン江東深川店」。7日午後、同店を訪れた会社員(57)は、「近所でも事件が起きて不安。決して人ごとではない」と表情を曇らせた。

 葛飾区に戸建て住宅を持つといい、窓に補助錠を付けたり、踏むと大きな音がする特殊な砂利を敷地内に敷いたりしてきた。しかし、今月2日、同区東水元の住宅で強盗致傷事件が発生。「可能な限りの対策を取りたい」と追加の防犯グッズを探しに来たという。

 同店を含めて全国約600店を展開するコーナン商事(大阪)によると、同社の10月の防犯関連商品の売り上げは前年同月比で倍増。窓のは約2・8倍、人の動きを感知して音が鳴るチャイムは約2・3倍の売れ行きだった。

 ホームセンター大手「カインズ」(埼玉)でも、10月上旬の補助錠や防犯フィルムなどの売り上げが前年同期の約3倍になり、一部店舗で品薄になった。同社の担当者は「必要な商品を届けるため、在庫の確保に力をいれている」と語る。

強化ガラスの需要高まる

 8月以降の一連の強盗事件などでは、窓を割って侵入する手口が目立っており、窓ガラスの防犯対策には特に注目が集まっている。

 警備大手「セコム」(東京)では、販売する防犯仕様のガラスやフィルムに関する問い合わせが10月、前年同期の約42倍に上った。2022~23年の指示役「ルフィ」らによる強盗事件以降、需要が高く、同社は5月、大型バールでも貫通しづらい強化ガラスを発売した。価格は1平方メートル当たり約17万円と従来品の約2倍だが、一般家庭からの問い合わせも相次いでいる。

 窓ガラス用の特殊な防犯フィルムを施工する「フィルムクラン」(神奈川)では10月、通常の4倍近い約30件の受注があった。9割は戸建てに住む人からで、既に12月中旬まで予約でいっぱいだという。フィルムは窓の鍵付近に貼るのが有効だが、他の部分から破られる恐れもある。荒井満義社長(38)は「窓の大きさに合わせて正しく貼ることで、より本来の効果を発揮できる」と話す。

「実家の親が心配」相談も

 離れて住む家族らを案じる人も多い。警備大手「ALSOK」(東京)には10月頃から、住宅警備の契約依頼のほか防犯サービスに関する問い合わせの電話やメールが殺到している。

 一連の事件は首都圏が中心だが、北海道や栃木県などでも起きていることから、「地方で一人暮らしをしている親が心配」「実家の様子を見に行ってほしい」といった相談が多いという。

 担当者は「再契約の依頼も増えており、これまでにない防犯意識の高まりを感じている」と語った。

「井戸端会議」有効

 お金をかけず、すぐにできる防犯対策は何か。元大阪府警の警察官で一般社団法人「全国防犯啓蒙推進機構」(大阪)理事長の折元洋巳さん(61)が勧めるのが、近所の人との「井戸端会議」だ。

 実行犯は事前に下見するケースが多く、住民が路上で話し合う姿は「人の目があり、狙いにくい」と思わせる効果がある。不審者の情報交換もでき、留守にする時間を伝えておけば「物音がするのはおかしい」と異変を察知してもらえる。

 住宅に生け垣などがある場合は、こまめに枝切りし、外からの見通しをよくすることも大切だ。侵入者が嫌がる「光」を発する人感センサー付きのライトは、数千円から購入できる。

 マンションやアパートでも油断は禁物だ。警察庁の統計では、昨年1年間の住宅への侵入窃盗事件のうち、約3割は集合住宅で起きていた。折元さんは、「オートロックを過度に信頼せず、在宅中も戸締まりを徹底してほしい」と話している。

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