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「越前がに」福井で初競り、1匹4万円の「上物」も…北陸新幹線延伸で「カニ目当てに来ていただければ」

読売新聞 / 2024年11月10日 16時9分

 「越前がに」のブランドで知られるズワイガニ漁が福井県内で始まり、越前漁港(越前町)や三国港(坂井市)で8日、初競りがあった。最高級ブランド「きわみ」は揚がらなかったが、雄1匹で4万円の値をつけた「上物」もあった。北陸新幹線の県内延伸後、初めてのカニシーズンで、県内の旅館、スーパーは客足の伸びや売り上げ増を期待する。(清水翔)

漁港に活気

 8日午後3時半、越前漁港の荷さばき所にかねが鳴り、競り人の声が響いた。あおむけにされたカニが並ぶ。脚には越前がにの証しとなるプラスチック製の黄色いタグ。仲買人らは上質のカニを見つけると、手や声で買値を示して次々と競り落としていった。

 競りを終えた男性(35)は「今日は大きいカニが少なかったが、県内の飲食店からの注文量も例年通りでこれからに期待したい」と話していた。

 悪天候の影響で漁が解禁日から2日遅れとなった今季。幹昌丸船長の男性(37)は「もどかしかった。やっとみなさんに福井の名産品を届けられる」と振り返った。

 初日の水揚げは雄が約7600匹、雌のセイコガニが約9万匹だった。漁は雄が来年3月20日まで。雌は今年末まで。

資源は回復傾向

 ズワイガニは水深200メートルより深い海底に生息する。2023年度の越前がに漁獲量(水がにを含む)は443トンで、3年連続で増えた。20年度には319トンに減ったが、漁業者らが資源保護に取り組み、回復傾向にあるという。漁獲金額は前年度比13%増の24億8000万円で、過去最高を記録した。

 県水産課の担当者は「ブランド化の取り組みが成功し、他県産と比べても高い水準だ」と話す。

スーパーに特設テント、400杯ずらり

 福井市のスーパー「ハーツ志比口」では9日、特設テントが設けられ、前日に水揚げされた越前がにが販売された。買い物客らは鮮やかな紅色にゆであがったカニの香りにそそられ、買い求めていた。

 越前漁港や三国港などでとれたカニ約400杯が並べられた。越前漁港のズワイガニ5杯はわずか30分で完売。加藤聖大店長は「今年も良いカニをそろえているので、多くの人に食べていただきたい」と話した。

 セイコガニ5杯を購入した福井市の70歳代女性は「生け花教室の先生に毎年9日にカニを渡しているので、間に合って良かった」と笑顔だった。

 北陸新幹線の延伸開業で首都圏と乗り換えなしで結ばれた県内。あわら温泉の旅館「白和荘」女将おかみ(62)は「早速、競りを見学しに行ったお客様もおり、カニへの注目の高さを感じている」とした上で、「関東方面からも来県しやすくなった。カニを目当てに、多くの観光客に来ていただければ」と期待を寄せた。

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