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キヤノンのフラッグシップ「EOS R1」、今月発売…プロ機材も席巻のミラーレス3強を解説

読売新聞 / 2024年11月10日 5時0分

 フィルムからデジタルへと劇的に変化した約20年前のように、カメラ業界が大変革している。レンズ交換式高級カメラの代名詞だった一眼レフがここ数年でミラーレスに置き換わり、出荷台数、金額とも国内市場の9割を占めるようになった。

パリ五輪「3強」消えた一眼レフ

 日本代表の活躍に沸いた今夏のパリ五輪。熱闘を繰り広げる選手たちの陰で、カメラメーカーも熾烈しれつな競争を展開していた。2016年リオデジャネイロ五輪まではキヤノンとニコンの一眼レフが双璧だったが、ミラーレス開発で先行したソニーが21年東京五輪で存在感を示し、ほぼすべてがミラーレスに移行したパリは「3強」の様相だった。

 本体内の反射鏡に映った被写体をファインダーで見る一眼レフに対し、電子ファインダーに表示された映像を見るミラーレスはAF(自動焦点)の精度が高く、初心者でもプロ顔負けの写真が撮れる。反射鏡がないため小型軽量化も容易だ。

 プロへの恩恵も大きい。シャッター音を消せるので、ゴルフや視覚障害者スポーツ、クラシックコンサートなど、音が出せない撮影には今や欠かせない。報道では光を記録するイメージセンサーが大きい「フルサイズ」のカメラを主に使うが、暗い場所でも高画質を保てるため、夜間の事件事故や星空撮影など、多様な現場で威力を発揮する。

ソニー、13年に世界初フルサイズ

 報道向けカメラでは後発のソニーは、一眼レフが主力だった13年、世界初のフルサイズミラーレス「α7」を発売した。同社の町谷康文さん(46)は、「小型軽量化にはミラーレスしかないと思った」。一眼レフの本体が680~1300グラムだった時代、α7は約416グラムに抑えた。

 映像や音響、通信など、他分野で培った技術を結集できるのがソニーの強み。17年にシャッターを切る瞬間にも電子ファインダーの映像が途切れない「α9」、21年に最高峰モデル「α1」を投入。今年発売の最新モデル「α9Ⅲ」には、1秒間に120コマ撮影できる超高速電子シャッターを搭載した。

 極限の環境に耐える高い堅牢けんろう性と信頼性というニコンの理念を引き継ぎ、18年に登場したミラーレスが「Z7」だ。1959年から一眼レフで採用していた伝統の「Fマウント(本体とレンズの接続部)」を採用せず、より大口径の「Zマウント」を新開発。光をより多く取り込めるので、より高性能のレンズを設計できる。「光学技術を磨いてきた会社として、カメラの高性能化に堪えられるレンズを求めた」と同社の粟飯原あいはら崇さん(44)。21年登場の最高機種「Z9」はアップデートされた最新ソフトウェアを公式サイトからダウンロードすることが可能で、いまだに進化を続けている。

 業界最大手のキヤノンも18年に「EOS R」でミラーレスに本格参入。レンズの高性能化を図りながら「R5」(20年)、「R3」(21年)と立て続けに新型機を登場させた。待望のフラッグシップモデル「R1」は今月下旬発売。パリ五輪ではひと足早く一部カメラマンに貸し出され、高い評価を得た。

 新しいAFシステムが「ディープラーニング(深層学習)」によりあらゆる場面で最適解をはじき出す。「アクション優先」ではサッカー、バレーボールなどで選手の姿勢やボールの位置を解析し、自動で主役にピントを合わせる。同社の中村剛志さん(45)は「苦手な被写体をなくし、あらゆる撮影ができる」と胸を張る。

性能は伯仲

 端的に特長を言うと小型軽量のソニー、頑丈なニコン、万能のキヤノンとなるが、性能は伯仲している。あえて共通の弱点を挙げれば、電子制御の多用によるバッテリー消耗の速さか。終わりのない開発競争は続く。

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