トランプ次期大統領に備える中国、インドや日本に外交攻勢…イーロン・マスク氏にも働きかけ
読売新聞 / 2024年11月10日 9時14分
【北京=吉永亜希子】中国の
中国政府の内情に詳しい関係者によると、米大統領選の結果が出た6日、党中央による会議が開かれた。習近平国家主席も出席し、トランプ氏の大統領就任がロシアのウクライナ侵略やパレスチナ自治区ガザの情勢に与える影響の分析が行われ、台湾問題や対中高関税への対応策を協議した。
「ディール(取引)」を好むトランプ氏と関税率などの協議ができる環境を整えるため、中国の一部電気自動車(EV)メーカーが米国で工場を新設することを許可する方針が確認された。
新政権とのパイプ作りのため、中国政府との関係が良好でトランプ氏に近い米実業家イーロン・マスク氏にも働きかける。中国の
ただ、トランプ政権で外交・安全保障や通商の対中政策を担うとみられる高官は、強硬派が勢ぞろいしている。米メディアが国務長官候補に挙げるロバート・オブライエン元国家安全保障担当大統領補佐官、親台派のマルコ・ルビオ上院議員らは20年以降、相次いで中国政府から入国禁止の制裁対象となっている。
バイデン政権は、中国との対話を重ねて競争を管理する方針を掲げてきた。トランプ次期政権の高官の顔ぶれ次第では、そもそも対話が成立するかどうかすら不透明だ。
一方、習政権は、トランプ次期政権が対中強硬策に出た場合に備え、米国以外への外交攻勢をすでに強めている。
習氏は米大統領選直前の10月、露カザンでのBRICS首脳会議に出席した。5年ぶりにインドのモディ首相と会談し、国境問題などで対立していた関係の改善で一致した。李氏は同月にラオス・ビエンチャンでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席した際に石破首相と会談し、日中の「戦略的互恵関係」の推進を確認した。
パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍とイスラム主義組織ハマスの戦闘が続く中、イスラム教国を中心にイスラエルを支援する米国への反感が広がっている。パレスチナ支援の姿勢を鮮明にする中国には一定の支持が広がっており、日中外交筋は「中国はここ数年の外交成果に自信を持っている」とみる。
長期化するロシアによるウクライナ侵略の行方も見ながら、「グローバル・サウス」の国々との連携を重視していく方針だ。
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