接戦が伝えられた激戦7州は「トランプ氏一色」…都市部・富裕層にも浸透
読売新聞 / 2024年11月12日 7時5分
【ワシントン=池田慶太、淵上隆悠】米大統領選(5日投開票)で、米メディアは9日、アリゾナ州で共和党のトランプ前大統領が勝利したと報じ、全50州と首都ワシントンの結果が出そろった。トランプ氏は538人の選挙人のうち312人を獲得し、民主党のハリス副大統領の226人に大差をつけた。接戦が伝えられた激戦7州は、トランプ氏がすべて制した。
準備本格化
トランプ氏は13日、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談し、政権移行への準備を本格化させる。ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は10日のCBSニュースのインタビューで両氏の会談について、「国内と外交の最重要課題について協議する」と述べた。
トランプ氏は6日未明の勝利演説以降、公の場に姿を見せておらず、フロリダ州の自宅で人事などを検討しているとみられる。10日にはSNSで、第1次政権で移民・関税執行局(ICE)の局長代行を務めたトム・ホーマン氏を国境管理の責任者に起用すると発表した。トランプ氏が選挙戦で訴えた「米国史上最大の不法移民の強制送還」を担当する。
国連大使には、下院共和党ナンバー3の議員総会議長を務めるエリス・ステファニク氏を指名した。トランプ氏は10日、米紙ニューヨーク・ポストに対する声明で、「エリスは信じられないほど強く、タフで、賢い『米国第一』の闘士だ」と語った。
20年ぶり
一方、トランプ氏は10日に自身のSNSで、大勝となった今回の大統領選結果について「神に感謝する」と述べた。アリゾナ州での勝利により、トランプ氏は激戦とみられた7州すべてで勝利が決まり、総得票数でもハリス氏を上回った。
AP通信の米東部時間11日未明時点の集計で、トランプ氏の全米の得票総数は約7483万票となり、ハリス氏の約7123万票を上回っている。集計作業は続いているが、2004年以来、20年ぶりに共和党候補が民主党候補を上回る見込みだ。トランプ氏は、20年前回選の自身の得票(7422万票)をすでに上回った。白人労働者などの岩盤支持層を固め、無党派層や民主党支持層にも食い込んだことが出口調査から判明している。
9郡に増加
ハリス氏は、バイデン氏が前回選で獲得した約8100万票を大きく減らした。記録的インフレ(物価上昇)などにより、民主党の伝統的な支持層が離れたことがうかがえる。トランプ氏は、全米3000超ある郡のほぼ全てで得票を伸ばした。民主党支持層が多い都市部での躍進も目立った。
ワシントン・ポスト紙の集計によると、経済規模が大きい上位50郡のうち、20年にトランプ氏が勝利したのは1郡だけだったが、24年は9郡に増えた。
フロリダ州の最大都市マイアミを含むマイアミデード郡では16年に民主党のヒラリー・クリントン氏が30ポイント差、20年はバイデン氏が7ポイント差で勝利したが、今回はトランプ氏が11ポイント差でハリス氏を制した。民主党の敗北は1988年以来で、地元民主党組織に衝撃が広がっているという。
富裕層もトランプ氏支持に動いた。民主党は、世帯収入平均が10万5000ドル(約1600万円)超の地域に住む有権者からの支持が2020年と比べて4・2ポイント低下した。下げ幅は有権者全体で失った3・7ポイントよりも大きい。一方、トランプ氏は富裕層の約43%の支持を集め、20年の約39%から伸ばした。
ハリス氏は、無党派層が比較的多い都市部郊外の郡で支持を伸ばせなかった。人工妊娠中絶問題を争点化して郊外に住む高学歴の女性の支持に期待したが、有権者の関心は経済問題に集まった。CNNの出口調査で、ハリス氏はトランプ氏に女性の支持で8ポイント優位に立ったが、20年のバイデン氏の15ポイントのリードに及ばなかった。
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