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「プロが教えるクラゲ飼育図鑑」おうちでも飼えます…全国の水族館の飼育員らが解説

読売新聞 / 2024年11月12日 9時8分

「プロが教えるクラゲ飼育図鑑」を分担執筆した大西さん(左)と高山さん(室蘭市で)

 全国の水族館の飼育員らがクラゲの飼い方をわかりやすく解説する「プロが教えるクラゲ飼育図鑑」が、北海道大学出版会から発刊された。道内からは室蘭水族館(室蘭市)が唯一執筆に携わった。同館の飼育員は、隣接する室蘭港の周辺などにすむクラゲを紹介している。(土田浩平)

 編著者は、世界有数のクラゲを飼育する加茂水族館(山形県鶴岡市)の飼育員、村井貴史さん。村井さんは、日本沿岸などに生息する182種を取り上げた「クラゲの図鑑 写真と動画で楽しむ魅惑の生物」を2022年に出版し、好評だったことから今回、「続編」として飼育図鑑を刊行した。

 飼育図鑑では、水族館の飼育員ら35人がクラゲ111種について執筆。工夫次第では家庭用の水槽でも飼えることを説明し、カラー写真を多用してその美しい姿を取り上げている。

 室蘭水族館からは、大西透さん(49)と高山佳代さん(41)がアサガオクラゲやキタユウレイクラゲなど7種の特徴や生態、飼育法を紹介した。

 シラスジアサガオクラゲは「北海道太平洋沿岸の藻場で付着している海草(海藻)ごと採集する。長期飼育は難しく一か月程度であれば飼育が可能」と説明。大きな傘と赤い筋(条紋)が特徴のニチリンヤナギクラゲは「北海道周辺で10~7月頃に傘経30センチ以上の大型個体がまれに出現する。飼育下では条紋は半年~1年経過した傘経15センチごろから見られる」と解説している。

 大西さんと高山さんは10年にクラゲ飼育に本格的に取り組むようになった。クラゲ展示が全国的に人気となった頃で、室蘭港だけでなく、噴火湾に面した伊達市や日本海側の島牧村、寿都町まで行ってクラゲを捕獲。はじめは2人とも知識や経験がほとんどなく、採取して図鑑で調べたり、全国の水族館に問い合わせたりするうち、クラゲ飼育の人脈ができたという。

 噴火湾や、白老町、苫小牧市沖の太平洋は水深が深いため多種多様なクラゲが生息し、全国の水族館関係者から注目されているという。大西さんは「室蘭水族館で多くの人に北海道のクラゲを知ってほしい」と語る。高山さんは「漁師さんたちから未知の種を提供してもらい、展示できるのが楽しい」とほほ笑む。

 室蘭水族館は現在、冬季休館中で、2人は飼育と調査に専念している。

 村井さんも「飼育は一般的に難しいが、簡単なクラゲもいる。ぜひ挑戦して」と話す。264ページ。7920円(税込み)で、クラゲ104種の動画を収めたDVDが付いている。

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