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レタスクラブ巡りフリーのライターやカメラマン買いたたきか…KADOKAWAに再発防止勧告

読売新聞 / 2024年11月12日 15時30分

「KADOKAWA」が入るビルの看板

 フリーランスのライターやカメラマンに支払う原稿料などを著しく低く抑えたとして、公正取引委員会は12日、東証プライム上場の出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)と子会社「KADOKAWA LifeDesignライフデザイン」(同)に対し、下請法違反(買いたたき)で再発防止を勧告した。

 発表によると、KADOKAWAは昨年1月、料理や健康情報を扱う生活情報誌「レタスクラブ」の記事作成や写真撮影を委託する26事業者にメールを送り、同年4月発売号の掲載分から原稿料や撮影代を引き下げると一方的に通告。今年4月に事業を継承した子会社も、うち21事業者と値下げした価格のまま契約した。

 ライターらの約8割はフリーランスを含む個人事業主で、条件変更を巡る事前協議は一切なかった。引き下げ率は大半が10%を超え、最高で39・4%。本来受け取るべきだった報酬との差額は計約590万円で、1事業者で約71万円に達したケースもあった。両社は今後、不利益を受けた受注者に全額を支払う方針という。

 両社は販売・広告収入の減少と、物価上昇に伴う資材費や輸送費の高騰による収益の減少を防ごうとしたとみられる。ライターらは仕事をもらう立場のため、契約の打ち切りや将来的な関係悪化を恐れ、不当な要求に従わざるを得なかった。

 両社は公取委に「受注者側に反論や拒絶の態度がなかったので、問題ないと思った」と説明。公取委幹部は「『通告すれば値下げをのむ』という優越的な意識があった。減収分を受注者側につけ回す行為は、今後も厳しく対処する」と話す。

 KADOKAWAは取材に「同様の問題が発生することのないよう、法令順守を徹底していく」と答えた。

進まぬ価格転嫁、迅速な是正促す

 「仕事を失う可能性があり、とても意見など言えません」。KADOKAWA側から大幅に報酬を減らされたライターらは公取委の調べに対し、口々に諦めの言葉を述べたという。

 国が原材料費や人件費などの上昇分を下請け業者との取引価格に反映させる「価格転嫁」を進める中、買いたたきは、その流れに逆行する行為だ。公取委の今年の調査では、フリーランスの6割超が価格転嫁が不十分と回答。今回の勧告は、法令順守の意識が低い発注者側に迅速な是正を促す意図がある。

 公取委は今年5月、「コスト上昇分の上乗せをせず、報酬を据え置いた場合」も違反になると下請法の運用基準を改正した。

 報酬額を協議せず、値下げの理由も説明しなければ買いたたきになり得る。発注者側は、受注者側が契約などに関する要望を伝えやすいビジネス環境を整えることが急務だ。(糸井裕哉)

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