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詐欺事件の被告、特捜部検事が「執拗に侮辱」と刑事告訴へ…取り調べは「自白得るための拷問」訴え

読売新聞 / 2024年11月13日 5時0分

検察庁

 再生可能エネルギー事業を巡る融資金詐欺事件で東京地検特捜部に逮捕された会社社長が、取り調べで執拗しつように侮辱されたなどとして、同部に所属していた男性検事を近く特別公務員暴行陵虐容疑で東京高検に刑事告訴することがわかった。社長側は「自白を得るために重い精神的苦痛を与えた行為は『拷問』にあたり、極めて悪質だ」と訴えている。

 告訴するのは太陽光発電関連会社「テクノシステム」(東京)社長の生田尚之被告(50)。2021年5月に詐欺容疑で逮捕され、現在も東京拘置所に勾留されている。

 告訴状によると、検事は21年5~7月、黙秘する生田被告を41日連続で取り調べ、「検察庁を敵視するってことは反社(反社会的勢力)や」と言ったほか、「子供でもそんなことせんぞ」「たちの悪いヤクザの組長ぐらいやで」などと発言。被告側が地検や最高検監察指導部に苦情を伝え、指導などを申し入れても、「黙秘を人のせいにするな」とどなりつけたという。

 検察の独自捜査事件と裁判員裁判の対象事件は逮捕・勾留された容疑者の取り調べの全過程で録音・録画が義務付けられ、生田被告に対する検事の言動も録音・録画で記録されている。

 特別公務員暴行陵虐罪は警察官や検察官が容疑者らに暴力を振るったり、侮辱したりした場合に適用される。被告側は「威迫や侮辱、罵倒で著しく人格を傷つけた」と主張。代理人弁護士は取材に「こうした重大な人権侵犯を見過ごせば、同様の取り調べが繰り返される恐れが強く、刑事罰を求めざるを得ない」と話した。

 被告は今年7月、この検事の取り調べで精神的苦痛を受けたとして、国に損害賠償を求める民事訴訟も東京地裁に起こしており、国は争う姿勢を示している。

 生田被告は詐欺罪と会社法違反(特別背任)で起訴され、13日に東京地裁で初公判が開かれる。

 起訴状などによると、被告は20年、太陽光発電事業などへの融資名目で、複数の金融機関に虚偽の見積書を提出するなどし、20億円超を詐取。18~19年にはカジノ賭博で生じた負債の支払いに充てるため、テクノシステムから計3億9400万円を取引企業の口座に送金させたとしている。

 被告は初公判で「融資金を返済する意思や見込みはあった」などとして無罪を主張し、違法な取り調べなどに基づいて起訴されたとして、裁判の打ち切り(公訴棄却)も求める見通し。

 一方、生田被告と共謀したとして起訴された同社元幹部2人については、同地裁が22年に詐欺罪でそれぞれ有罪を言い渡している。

検察の独自捜査で「違法な取り調べ」訴え相次ぐ

 検察の独自捜査事件を巡っては最近、逮捕された容疑者側から「違法な取り調べを受けた」との訴えが相次いでいる。

 大阪地検特捜部が手がけた業務上横領事件では、大阪高裁が8月、不動産開発会社「プレサンスコーポレーション」の元部長を取り調べた検事について、特別公務員暴行陵虐罪に問う刑事裁判を開く決定をした。同社元社長(無罪確定)は10月、違法な取り調べを知りながら不当に逮捕・起訴したとして、事件の主任検事を特別公務員職権乱用などの疑いで大阪高検に刑事告発した。

 一方、東京地裁は7月、横浜地検特別刑事部による犯人隠避教唆事件で、逮捕・起訴された元弁護士(有罪確定)に対して検事が「ガキ」などと発言したことについて違法性を認め、民事訴訟で国に110万円の賠償を命じた。

 こうした中、畝本うねもと直美検事総長は9月の「検察長官会同」で「捜査・公判が適正に行われることは真相解明と同様に重要だ」などと述べた。

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