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犯人の血痕残る現場アパート、「手がかり消したくない」転居後も借り続ける夫の執念…名古屋主婦殺害25年

読売新聞 / 2024年11月13日 6時50分

現場アパートに残る犯人の血痕を指さす高羽悟さん(1日、名古屋市西区で)

 名古屋市西区のアパートで、主婦の高羽たかば奈美子さん(当時32歳)が刺殺された事件は13日、未解決のまま発生から25年を迎える。夫の悟さん(68)は事件後に転居したが、今も現場となった部屋を借り続けている。(河野圭佑)

 「犯人を見つけるまで手がかりを消したくない」。悟さんは、玄関の白い床に残る茶色い血痕を凝視しながらつぶやいた。

 1999年11月13日午後、悟さんの職場に近所の人から、「奥さんが倒れている」と電話があった。急いで自宅に帰り、玄関のドアを開くと、廊下に倒れている奈美子さんの足が目に入った。床には赤い血が広がり、捜査員が鑑識作業を始めた。何が起きたのかを理解せざるを得なかった。

 事件が起きたのは、同日正午過ぎ。奈美子さんは何者かに首などを刺され、殺害された。居間のテーブルには昼食の用意がしてあり、当時2歳の長男・航平さんは台所にいて無事だった。

 犯人につながりそうな手がかりもあった。当日の昼頃、傷を負った手を隠すように走って行く中年の女が目撃され、奈美子さんとは異なるB型の血痕が、アパートから約300メートル離れた稲生公園近くまで続いていた。だが、その後の捜査は行き詰まった。

 事件後、悟さんと航平さんは転居したが、現場となったアパートの部屋は借り続けることにした。玄関に残された血痕が、犯人のものとわかったためだ。家賃の支払いは、今年10月までで計2188万円。勤務先は2015年末に退職しており、負担は大きい。

 事件当時の部屋の状況や、残された血痕などは、愛知県警が詳細に記録している。「現場の保存」という目的であったとしても、遺族の意思で部屋を借り続ける場合、支払いは遺族側の負担となる。それでも悟さんが部屋を借り続けるのは、「犯人につながるものは一つたりとも失いたくない」「生々しい現場が報道されることで事件の風化を防ぎたい」との思いからだ。

 今年で27歳になった航平さんは、今月11日に結婚した。相手は高校の同級生で、その母親は偶然にも奈美子さんの親友だ。仏壇に報告すると、「私が導いたのよ」と笑う奈美子さんの顔が浮かんだ。「今度は犯人の逮捕を報告するから。それまで諦めないから」。悟さんはそう誓った。

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