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ガラス破り侵入の窃盗、2・5倍に急増…「闇バイト」と似た手口に警察も危機感

読売新聞 / 2024年11月18日 8時10分

 静岡県内で今年、ガラスを破って家屋に侵入する窃盗事件が前年同期比で2・5倍に増えている。首都圏などで相次ぐSNSの「闇バイト」を実行役にした強盗事件と似た手口で、静岡県警は「いつ強盗が起きてもおかしくない」と防犯対策の必要性を訴えている。(中島和哉)

 「一歩間違えれば強盗事件に発展する危険な犯罪だ」。浜松市内で今月開かれたガラスの耐久性能を紹介する実演会で、県警生活安全企画課の杉本俊一理事官は侵入盗の危険性を強調した。

 実演会は、各地で相次ぐ「闇バイト」関連の強盗事件を受け、自治会関係者らを対象に急きょ実施。警察官が通常のガラスをハンマーでたたくと一瞬で粉々になったが、専用フィルムを貼り付けた「防犯ガラス」はハンマーで何度たたいてもヒビは入るが穴は開かない。

 侵入盗では、ガラスを割って手を差し入れてカギを開けるケースが多いため、「仮に穴が開いても犯人の手が通る大きさでないことが大事」(県警幹部)という。実演会では、企業が防犯カメラやセンサーライトなどのグッズも紹介した。

 県警によると、今年の県内の侵入盗発生件数は9月末時点で前年同期(245件)の1・4倍にあたる350件。このうち約6割にあたる200件がガラスを割って侵入する手口で、前年同期(79件)の2・5倍に増えた。

 焼津市では10月、住宅に窓ガラスを割って侵入し、現金約12万円と宝石など25点(時価約200万円相当)を盗んだとして男4人が逮捕された。SNSなどでメンバーを集めて事件を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の犯行とみられ、県警が「闇バイト」との関連を調べている。

 県警幹部は「侵入した犯人が住民と鉢合わせするなどして、関東のような事件がいつ起きても不思議ではない」と危機感を募らせる。

 同課によると、防犯ガラス以外にも、〈1〉玄関にドアチェーンやインターホンを設置する〈2〉上の階に上がれる足場や手段をなくす〈3〉自宅に必要以上の現金を置かない――などの対策が有効という。杉本理事官は「上階の戸締まりも徹底するなど、防犯意識を高めてほしい」と呼びかけている。

グッズの需要増、売り上げ4倍に…鍵やブザー人気

 静岡県内の小売店では防犯グッズの需要が高まっている。ハンズ静岡店(静岡市葵区)では、首都圏で強盗事件が相次いだ10月中旬頃から問い合わせが増え、専用コーナーを設けた。

 ガラス用の防犯フィルムや、窓に後付けできる鍵、防犯ブザーが人気といい、売り上げは前年同期比の約4倍という。店長の男性(44)は「ちょっとした手間や工夫で被害を防げる。安全のための初期費用と思って関心を持ってもらえれば」と話していた。

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