1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

日本の酒造り 内外に伝えたい文化的な価値

読売新聞 / 2024年11月15日 5時0分

 日本酒や焼酎、泡盛などを造る技術の文化的な価値が、世界に認められた。国内外の多くの人々に、その歴史や技法、洗練された味わいを知ってもらう契機としたい。

 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の評価機関が日本の「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録するよう勧告した。12月に正式決定される見通しだ。

 日本の酒造りは、こうじ菌を使って米や麦の発酵を促し、酒の風味を豊かにするのが特徴だ。室町時代に原型が確立され、その技は今も受け継がれている。

 酒は、神への感謝を示すため、神棚などに供え、結婚や誕生といった祝いの場でもふるまわれてきた。一年の無事を祈る正月の屠蘇とそや、ひな祭りの白酒などは、季節の風物詩でもある。

 今回、ユネスコの評価機関は、日本の酒が「社会文化的な行事に欠かせず、地域の結束に貢献している」と評価した。

 古来、日本の生活に溶け込み、暮らしを彩ってきた酒の文化に触れることは、日本文化を考えることにも通じるだろう。

 無形文化遺産の制度は、芸能や行事、伝統工芸などの保護を目的としている。これまで日本からは、能楽や歌舞伎、和食など22件が登録された。日本酒は和食と相性がいい。共に発展できるようなメニューなども工夫したい。

 日本酒の国内出荷量は、ピークだった1973年度の4分の1以下まで減り、酒蔵の数も半分以下の1600程度となっている。好みの多様化で他の酒を飲む人が増え、若者らの「日本酒離れ」も指摘されている。

 一方、海外では日本食レストランが増え、日本酒の需要が高まっている。輸出量はこの10年で約2倍に増えた。日本の酒造りの現場を見てもらう「酒蔵ツーリズム」で、訪日外国人客を呼び込もうという取り組みも広がっている。

 日本酒でも、ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」の発売時期のように、大きなキャンペーンを行ってはどうだろうか。

 各地の酒造会社は、能登半島地震で被災した酒蔵を支えるためのプロジェクト「能登の酒を止めるな!」を展開している。クラウドファンディングで寄付を募ったところ、これまでに約5200万円が集まったという。

 日本の伝統技法をこれからも守っていかなければならない。国や業界は、日本の酒造りへの理解を深め、消費を拡大させるため、さらに知恵を絞ってほしい。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください