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特別国会閉幕 政策論争を置き去りにするな

読売新聞 / 2024年11月15日 5時0分

 先月の臨時国会はわずか9日間で衆院が解散された。この特別国会も、政府と与野党が何ら論戦を行うことなく、4日間で閉幕した。

 石破内閣発足後、政策論争が置き去りにされているのはゆゆしき事態だ。こうした状況に陥っているのは、石破首相が内外の課題について、明確な対処方針を持ち合わせていないためではないか。

 衆院選の結果、与党だけでは予算案も法案も通すことはできなくなった。少数与党になったからこそ、開かれた国会の場で与野党で議論を深め、接点を見いだすことが重要になっているはずだ。

 6月の通常国会閉幕後、国会で成立したのは旧優生保護法の被害者救済法だけだ。審議を通じて行政や法案の問題点を洗い出し、改善を図る、という役割を果たしていないのは問題だ。

 日本周辺の安全保障環境は極度に悪化している。防衛力の強化やその財源を確保することは急務だ。人口減少に歯止めがかからない。経済をどう再生し、成長させていくのかも難題だ。

 内外の課題が山積しているにもかかわらず、首相が先月1日の就任以降、最もこだわりを見せているのが、派閥の政治資金規正法違反事件への対応だ。

 首相は、政策活動費の廃止に意欲を示している。政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派などの議員のうち、政治倫理審査会で弁明していない議員に対しては、改めて出席を促すという。

 衆院選で政治とカネの問題に焦点があたって自民党が惨敗したため、首相は政権を維持するには政治改革に積極的な姿勢を示す必要があると考えているようだ。

 政治資金の透明性を高めることが重要なのは論をたない。

 だが、この問題は東京地検特捜部が捜査を尽くして派閥の会計責任者らを立件し、既に刑事事件として決着がついている。強制力のない政倫審を開いても新事実を見つけるのは容易ではあるまい。

 首相は、不記載のあった議員を第2次内閣の副大臣、政務官に登用しなかった。衆院選で審判を受けて当選した議員をなお問題視するなら、政治とカネの問題にいつ終止符を打つつもりなのか。

 そもそも収支報告書への不記載という形式的なミスを、重大な贈収賄事件などと同列に扱うかのような対応は理解に苦しむ。

 首相が政治資金問題で定見を示さず、延命のため野党の主張を受け入れようとしていることが、混乱を招いているのではないか。

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