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パックご飯が個人消費を押し上げ、訪日客消費は2年3か月ぶりマイナス…GDP7~9月期

読売新聞 / 2024年11月15日 14時30分

 内閣府が15日発表した2024年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・2%増、このペースが1年続くと仮定した年率換算では0・9%増で、2四半期連続のプラス成長となった。認証不正による落ち込みの反動で自動車の販売が増えたほか、8月の南海トラフ地震臨時情報などで食品や飲料の買いだめが起きたことが、個人消費を押し上げた。

 項目別では、GDPの半分以上を占める個人消費が0・9%増となり、2四半期連続のプラスとなった。自動車やスマートフォンの新製品の販売が好調で、地震情報や台風で水やパックご飯などの買いだめが起きた影響も大きい。ただ、猛暑で秋物衣料の販売は振るわず、宿泊や外食なども伸び悩んだ。

 企業の設備投資は、半導体製造装置やコピー機などの業務用機器が伸び悩み、0・2%減と2四半期ぶりにマイナスだった。23年度補正予算の執行が一服した公共投資は0・9%減、住宅投資は0・1%減だった。

 輸出は0・4%増と2四半期連続のプラスだった。だが、統計上、輸出に計上される訪日客消費は13・3%減で、9四半期ぶりにマイナスとなった。

 GDPにはマイナスに響く輸入は、2・1%増と2四半期連続のプラスだった。医薬品やスマートフォンの輸入が増えた。

 家計の実感に近い名目GDPは0・5%増、年率では2・1%増で2四半期連続のプラスだった。実額は年換算で610・9兆円となり、過去最高を更新した。

 赤沢経済再生相は15日、閣議後の記者会見で「策定中の新たな総合経済対策を含め、経済財政運営に万全を期す」と述べた。

変わらぬ「節約」、増加は特殊要因

 7~9月期の実質GDPで、個人消費が2四半期連続で増加したのは特殊要因の影響が大きい。認証不正で落ち込んでいた自動車販売の反動増や、南海トラフ地震臨時情報による水やパックご飯の買いだめが押し上げた。物価高に賃金の上昇は追いついておらず、消費者の節約志向は高止まりしたままと言える。

 企業の設備投資も2四半期ぶりにマイナスとなった。賃上げや定額減税などで所得環境を改善させ、内需の二本柱である個人消費と設備投資が景気を押し上げるという政府が目指す構図にはほど遠い。

 米国のトランプ次期大統領が関税の引き上げを主張するなど日本経済を取り巻く環境は不透明感を増している。コロナ禍後に右肩上がりに増えた訪日客消費も9四半期ぶりにマイナスとなり、曲がり角を迎えた。

 政府は6月から定額減税を実施したが、個人消費の押し上げ効果は限定的だった。策定中の総合経済対策では選挙目当ての「バラマキ」に陥らず、企業の成長につながる施策を重視すべきだ。(経済部 秋田穣)

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