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日本語学校 新制度を質の向上に生かせ

読売新聞 / 2024年11月16日 5時0分

 日本で学び、働くことを目指す外国人留学生は人口減の社会を支える貴重な担い手となる。日本語教育の向上を図る体制を充実させたい。

 日本で暮らす外国人は今年6月末時点で約359万人となり、過去最多を更新した。外国人留学生も昨年度、約28万人に達し、そのうち約9万1000人が日本語学校で学んでいる。

 卒業生の8割は国内の大学などに進学する。そのまま日本で就職する人も増えている。

 問題は、日本語学校の教育体制や質が十分ではないことだ。授業料収入を増やそうと、定員を大きく上回る学生を受け入れたり、学校に来ないで不法に働くことを黙認したりするところもある。

 これでは学生の学習意欲に応えられないだけでなく、日本語学校全体の信頼も損ねかねない。

 こうした状況を踏まえ、文部科学省は今年度、日本語教育機関認定法に基づいて教育課程などを審査し、基準を満たす学校を認定する新制度を導入した。学校選びの参考にしてもらうため、情報はインターネットで公開している。

 しかし、全国に約870校ある日本語学校のうち、認定を求めて申請したのは72校にとどまり、10月末に公表された初の認定校は22校だけだった。教育内容の不備のほか、債務超過など経営面の課題が確認された例もあった。

 2029年3月までに認定校にならなければ、留学生の受け入れができなくなる。各学校は早期の認定を目指してほしい。

 認定後は文科省への定期報告が求められる。不法就労防止など生活面の管理も含め、緊張感を持って運営することが欠かせない。

 日本語を教える教員の国家資格「登録日本語教員」も新設された。認定校で教えるには、この資格が必要となる。日本語教員の社会的地位向上や処遇改善を図り、人材確保につなげることが重要だ。

 生徒の授業料以外に運営資金の調達が困難だという日本語学校が多い。国は今後、自治体や企業の協力を得て、認定校に投資してもらう仕組み作りに乗り出す。こうした取り組みを通じて、経営基盤の強化を図る必要がある。

 自治体の役割も大きい。来春、公設の日本語学校を開校する宮城県大崎市は学生募集や就職で県や企業と連携し、地域で活躍する外国人材の育成を目指すという。

 国は33年に留学生を40万人とする目標を掲げている。日本が国際的に選ばれる国になるためにも、教育体制の整備が急務だ。

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