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筋肉質で甘みのある高級食材トラフグ、千葉県で漁獲量急増…日本一の消費地・下関に出荷も

読売新聞 / 2024年11月17日 14時12分

大原漁港で水揚げされたトラフグ(睦栄丸提供)

 千葉県いすみ市で海の高級食材・トラフグの漁獲量が増えている。市内で水揚げされるトラフグは、日本一の消費地の山口県下関市に出荷されており、市は「イセエビに次ぐ特産品に育てたい」と意気込んでいる。(戸田光法)

 今月5日、大原漁港でトラフグ漁が解禁となった。初日は「夷隅東部漁協フグ縄船団」の8隻が出航し、水揚げ量は、昨年とほぼ同じ約226キロだった。

 トラフグ漁は海水温が下がる12月からが最盛期で、3月31日まで続く。同漁港の漁獲量は増えており、昨季の水揚げ量は、過去最高となる29・83トンだった。

 同船団長で睦栄丸船長の滝口守弘さん(50)は「まだ海水温が高い状態が続いていて読めないが、12月から漁獲量は昨年並みに増えるだろう」と期待する。初日には重さ1~2キロのものが多かったが、最盛期には取引値が高い3キロ前後が増えてくるという。

 県水産総合研究センターによると、県内のトラフグの漁獲量は2001年から16年まで約2~7トンで推移してきたが、23年には過去最高の44・6トンに急増した。

 中でも夷隅地域は、漁獲量の67%を占める。17年から続く黒潮の大蛇行によってトラフグの漁獲地が北に移動したことが背景にあるという。

 トラフグの継続的な漁獲に向けて、県も取り組みを続けている。15年からは、同センターで人工授精した「種苗しゅびょう(稚魚)」を年間1万~2万匹ほど試験放流している。放流された稚魚は1年で1キロ前後の大きさに成長する。成魚の回収率は約3~8%だが、同センター資源研究室は「徐々に放流数が10万匹まで増えれば漁獲量も上がるだろう」と話す。

 漁獲量の増加を背景に、いすみ市ではトラフグを市の特産にしようと、5年前からフグ処理師の資格取得のため講習会を実施している。資格を持つ漁師や飲食店従業員が増えたことで、大原の朝市などで観光客向けにフグの唐揚げやフグ雑炊などを提供できるようになった。

 また、家庭でもフグ料理を楽しめるように、ふるさと納税の返礼品として、アルコール凍結したフグの提供も始めた。市水産商工観光課の山口高幸さん(45)は「いすみ産のフグは筋肉質でしまりが良く、甘みがある。下関でも評価が高いので、イセエビやマダコに続く特産品に育てていきたい」と意気込んでいる。

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