小中高生の自殺 大人が兆候を見逃さぬように
読売新聞 / 2024年11月17日 5時0分
自殺する子どもが増えている。中学生、高校生だけでなく、小学生までも。未来ある少年少女が自ら死を選ぶような社会であってはならない。
背景や原因を分析し、自殺予防策を強化すべきだ。
政府の自殺対策白書によると、昨年の自殺者数は全体で約2万1800人で前年より減少した。
そうしたなか、自殺した児童生徒は513人に上り、過去最多だった前年と同水準だった。コロナ禍で急増した2020年以降、500人前後で推移している。
政府は今回初めて、自殺した小中高生が、それ以前にも自殺を図ったことがあるかどうかを調査した。その結果、2割の人に自殺未遂歴が確認された。自殺未遂をした人はその後、実際に命を絶つリスクが高いと言えるだろう。
危険な兆候があったにもかかわらず、若い命を救えなかったことは残念でならない。
子どもの自殺の原因は、不明とされることが多い。
北海道旭川市で21年、凍死体で見つかった中学生のケースでは、学校側は当初、いじめ問題として扱わず、原因は不明とされていたが、後の調査で「いじめが原因の自殺だった」と認定された。
日頃からいじめなど自殺につながりやすい事態を見逃していたら最悪の結果になってしまう。
うつなどの精神疾患も、自殺の要因になりやすい。子どもがゲームやSNSにのめり込むと、心の不調のリスクが高まるという報告もある。人との接触の機会が減り、子どもが孤立を深めていないか、大人が気を配るべきだ。
子どもが悩みを抱えていても、相談しにくいという状況は改善しなければならない。
文部科学省は、24時間体制で相談に応じるSOSダイヤルを設けている。教室や教材など、子どもたちの目に触れやすいところに電話番号を表示してもらいたい。
大人の側も自殺を防ぐための対処法を身につける必要がある。
子どもが打ち明けた悩みを大人が真剣に受け止めなかったり、「死にたい」という訴えに対し、自殺は悪いことだと
子どもがなぜそのように思うのかに耳を傾け、支援できることはないかを考えたい。
国や自治体は、教員が自殺予防のために必要な知識を学べる研修を拡充してほしい。学校と保護者が連絡を密に取り、協力して子どもを支えることが不可欠だ。
この記事に関連するニュース
-
一度治っても半数以上がぶり返す…注意深く観察しないと気づけない「子どものうつ」の初期症状
プレジデントオンライン / 2024年11月19日 6時15分
-
不登校最多 低年齢化と長期化が心配だ
読売新聞 / 2024年11月14日 5時0分
-
大人の過剰な期待で日本の子どもたちが潰される
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 11時30分
-
学校でも家庭でもない…子どもたちの第三の居場所とは?郡山市の“ほぼいえ”を取材
福島中央テレビニュース / 2024年11月5日 19時0分
-
自殺「子どものサイン気付いて」 1年以内に未遂過半数、対策白書
共同通信 / 2024年10月29日 11時2分
ランキング
-
1父親の修被告「覚えていない」繰り返す 母親の6回目の公判で すすきのホテル頭部切断殺人事件 札幌地裁
HTB北海道ニュース / 2024年11月20日 18時31分
-
2東海大と桜美林大でスト実施へ 非常勤講師の賃金ベア要求
毎日新聞 / 2024年11月20日 12時27分
-
3個人情報、公開か削除か…マイナカード偽造被害、悩む地方議員ら
毎日新聞 / 2024年11月20日 19時16分
-
4「とんでもない不当判決」=原告ら怒りあらわに―厚木基地訴訟
時事通信 / 2024年11月20日 19時25分
-
5経済対策、自公国が合意=「103万円」引き上げ
時事通信 / 2024年11月20日 18時18分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください