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気候変動を「でっち上げ」と呼ぶトランプ氏に警戒感…揺れるCOP、ロシアは対策の重要性を強調

読売新聞 / 2024年11月18日 5時0分

気候変動に関するトランプ氏の発言とCOP29での懸念の声

 【バクー=田中洋一郎】アゼルバイジャンの首都バクーで開かれている国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)の議論で、米国のトランプ次期政権を懸念する声が高まっている。来年1月に発足する政権は1期目に続き、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前比で1・5度以内に抑えることを目指す「パリ協定」から離脱する公算が大きいためだ。

 「来年1月には気候変動を『でっち上げ』と呼ぶ大統領が就任する。パリ協定を離脱すると言っており、実際にそうするだろう」

 米バイデン政権で気候変動問題を担当するジョン・ポデスタ大統領上級顧問は11日、記者会見でこう警告した。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏の政権移行チームは、エネルギーや気候問題に関する大統領令の立案準備に入った。バイデン政権で復帰したパリ協定からの再離脱の準備にも着手したとみられる。

 来年1月20日の就任日に脱退を通告すれば、1年後の2026年1月20日に脱退が確定する。パリ協定の締約国会議への参加資格を失い、日本や欧州各国などは米国抜きで中国や新興国と向き合うことになる。

 米エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は15日、「ホワイトハウスのあるじが誰であろうが、再生可能エネルギーへの移行は起きつつある」と語った。米国の州政府や企業は連日イベントを開き、離脱後も脱炭素に取り組むと訴えている。

 ただ、気候変動の影響を受ける島国などは危機感を募らせている。カリブ海の島国アンティグア・バーブーダのガストン・ブラウン首相は13日の記者会見で「温室効果ガスを排出し続けた歴史を踏まえれば、米国は指導力を発揮する義務がある」と語った。今回のCOPは先進国が途上国に提供する資金の上積みが議題となっており、米国の不在について「議論の取りまとめを困難にする」(日本の環境省幹部)との見方が強い。

 米国に追随しそうな国もある。米CNNは13日、南米アルゼンチンのCOP代表団が本国から交渉離脱を指示されたと報じた。トランプ氏と親交があるハビエル・ミレイ大統領は過去、気候変動を「社会主義者のウソ」と発言して物議を醸した。米紙ワシントン・ポストは14日、ミレイ氏がパリ協定の離脱の是非を検討中だと報じている。

 各国の足並みに乱れが見える中、ロシアは対策の重要性を強調している。「低炭素エネルギーへの移行は低所得国の発展を妨げずに行うべきだ」(ミシュスチン首相)と、新興・途上国「グローバル・サウス」に寄り添う姿勢が目立つ。米国の離脱をグローバル・サウスを引き寄せる材料に使う狙いが透ける。

 米政府高官は12日、記者団に対し、今後の米国の温暖化対策についてため息交じりに語った。

 「最も裕福で主要な排出国の米国が、しばらく何もできない。つらいが、それが現実だ」

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