ロシア領への長射程ミサイル「ATACMS」攻撃承認、北朝鮮兵の戦闘参加でバイデン大統領が方針転換
読売新聞 / 2024年11月18日 10時28分
【ワシントン=池田慶太】米紙ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは17日、米国のバイデン大統領がロシアの侵略を受けるウクライナに対し、米国供与の長射程ミサイルを使ったロシア領内への攻撃を承認したと報じた。バイデン氏はロシアとの緊張が過度に高まるとして慎重だったが、戦闘に北朝鮮部隊が参加したことに危機感を強め、方針転換に踏み切った。
同紙などによると、使用を認めたのは最大射程300キロ・メートルの地対地ミサイル「ATACMS」で、ウクライナ軍が越境攻撃を続ける露西部クルスク州やその周辺で使用される可能性が高い。クルスク州では、北朝鮮兵1万人以上を含む約5万人の露軍部隊がウクライナ軍に奪われた領土の奪還に向け、近く本格的な攻撃を始めるとみられている。
米当局者は同紙などに対し、北朝鮮の
バイデン氏は従来、「第3次世界大戦につながる」などとして米国供与の兵器を使ったロシア国内への攻撃には慎重で、射程約80キロ・メートルのロケット弾など一部しか認めてこなかった。
バイデン氏の方針転換は約2か月後のトランプ次期大統領の就任を念頭に置いたものとみられている。ATACMSの使用を認めればウクライナがクルスク州を長く確保でき、将来の和平交渉で有利になると判断した模様だ。戦闘の早期終結を掲げるトランプ氏のチームは、現状の戦線に沿って非武装地帯を設け、ロシアの意に沿う形で和平を実現させる案を検討しているとも報じられている。
ウクライナ軍はATACMSを使い、ロシア軍の陣地深くの弾薬庫や指令部、補給路を破壊することが可能となる。ATACMSによる露領攻撃の許可を米国に求めていたウォロディミル・ゼレンスキー大統領は17日夜のビデオ演説で、報道について否定も肯定もせず、「ミサイルが自ら語るだろう」と述べた。
ウクライナに対しては英国やフランスも長射程ミサイルを供与している。米国の方針転換を受け、英仏などが露領内攻撃を容認するかどうかも注目される。
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